キャリア20年、これまで1000人以上の子供たちの学習を指導してきたベテラン塾講師で、教育系YouTubeチャンネル「誰も言えない本音を言う塾講師」を配信する財部真一さん。
ときには「0歳の時から家では英語しか話していない」という子供も指導した、財部さんが語る「英語の先取り学習」のリスクとは?(全3回の2回目/#1、#3を読む)
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子供の「地頭の良さ」を見極めるコツ
――子供の「地頭の良さ」について、親が判断するポイントはあるのでしょうか?
財部真一(以下、財部) まず、「遺伝的な地頭の差が存在する」という情報をあらかじめ知っておくことで見方が変わってくると思います。
その上で、子供のテストの答案を何回か見てみます。4年生くらいのテストは大人なら簡単に解けるので、どんな間違いをしているのか確認してください。
一番分かりやすいのは「割り算」です。勉強が得意な子は割り算ができるようになるのが早く、学校の宿題も片手間で済ませられます。でも苦手な子はテストも宿題も間違いだらけ。解くのも遅いし、大きな数や小数のわり算などはなかなかできるようになりません。国語も同様で、漢字がなかなか覚えられなかったり字がすごく汚かったりします。
――しかし、我が子の地頭があまり良くないというのは、親心としてはなかなか受け入れ難いのではないでしょうか?
財部 私の経営する塾でも、子供の能力とかけ離れた目標を持っている親御さんは多く、最初は「どんどん厳しくして成績を上げてください」などと言ってきます。
しかし成績が伸びないまま学年が上がっていくと、「うちの子はこの学校には届かないんだな」と感じるのか、大半の親は徐々に冷静になっていきます。そこで親の希望が子供の能力に近づかなければ悲劇が起きるのですが、皆さん自分の子が愛しいわけですから大抵は落ち着きます。
――親が受け入れるためには、時間が必要ということでしょうか。
財部 ただ、子供のためにはできる限り早い段階で、親の希望を子供の能力に合わせてあげてほしいと思います。「子供の能力より上の志望校を目指しても限界がある」と頭の片隅に入っていれば、「無理に勉強させるより、睡眠時間を優先させてあげよう」と考えられる親が増えていくのではないでしょうか。
――地頭が良くないタイプの子は、勉強させるのを諦めた方がいいのでしょうか?