「動画? どんなのを見てるの?」
「いや、普通にYouTubeとか。VTuber(ブイチューバー)とかが割と好きで」「ブイチューバー? 何それ、面白いの? 気になるじゃん。ちょっと教えて」という感じ。いかにも上司側にとって苦手そうな例を出してみたが、さて、あなたにはできるだろうか(この本を読んだからには、もう「できない」は通用しません)。
スマホを出して実際に動画を見てみる
この本をお読みのあなたが家に帰ったあともブイチューバーに興味を持てるかは、実際のところどうでもいい。
でも、その場では興味を持とう。
これを、ここでは共感力と呼ぶことにする。
「え、ブイチューバーって、ヒカキンとか?」
「それはユーチューバーです(笑)」
と乗ってきてくれたら、あなたとしては助かる。でも多くの若者はそうではない。そこで、あなたも見てみよう。さっそくスマホを出して。
「ちょっと待って。今見るから……。え、これ?」
「そうです、そうです。それは自分の推しとは違うんですけど……」
ここまでくると、もはや「傾聴」はどこにいった? というレベルだが、それでいい。
なるべく素でいることが大事
この時間は、あなたが「積極的かつ能動的に聞くこと」を練習するためのものだ。1on1は、上司や先輩のための時間でもある。これは僕の一貫した主張だ。ただ、これだと(2)共感すること、は達成できたとしても、(3)なるべく素でいること、に反するのではないか。素の自分としては、ブイチューバーには1ミリの興味もないのだが……。
その通り。なので、そこは素のリアクションを出してみよう。
「これ、面白いか?(笑)。CGっぽいアニメのキャラクターが飯食ってるだけじゃん」と、まさに素の感想を言ってみよう。
僕の予想では、「いや、それが面白いんですよ。そんなアニメのキャラなのに、話してる内容が普通だったりして笑えるんです」と返してくれる(といいですね)。
ここで、そう思ってないのに「めっちゃ面白いじゃん」と言ってしまうと、後で苦しくなる。それに、さすがに無理に狙っているように見えてしまう。だから、なるべく素でいることが大事になる。