多くの企業では、「世代間ギャップ」「コミュニケーション・ギャップ」を埋めるために、「1on1ミーティング」がなされている。しかし、「1on1ミーティング」実施後に何も言わずに辞めていく若者が増えているという。今の職場の若者は、いったい何を考えているのか?
ここでは、金沢大学の教授・金間大介氏の著書『静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと』(PHP研究所)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
◆◆◆
これまでの非合理を見直す姿勢と勇気を
若手の早期退職に対する対策については、すでに多くの人事部で相応の対応(と相当の努力)をしていることと思う。だがお気づきの通り、これはもう人事部だけでどうにかなる課題ではない。
日本企業の多くは、依然として業務範囲があいまいで、努力や成果と評価との関係も、やはりあいまいだ。
そういう環境の中で上役が取り得るチーム作りの方法として、雰囲気を重視しようとするのは当然の帰結だ。始まる前は「みんなでがんばろう!」、終わったら「みんなお疲れさん!」と和気あいあい、笑って過ごすことができる。
ただ、その笑いの陰で「何かがおかしい」、「雰囲気だけであいまいなことばかり」、「自分の居場所はここじゃないかも」と感じている若者は確実に存在している。
笑って流していたようなことも、若手にとっては大事なことかも
そしてそんな若者こそ、最も辞めてほしくない人材である可能性が高い。小さい頃から聞かされてきた「いつまでも初心を忘れないように」、「自分の考えや感性を大切に」という大人からのメッセージを、地で実行できている貴重な存在だ。
彼らが去った後に残るのは、自主性が低く、指示待ち中心で、メンバーシップに依存する量産型新入社員ばかりかもしれない。
そこで、僕からまた1つ提案がある。
そうなる前に、今まで「当たり前」とされてきた非合理な文化を1つずつ見直すべきだ。