こうなると、若者のリアクションは、いつも通りの爽やかで、若者らしい演技とテンプレートになる。
「いい話、ありがとうございます!これからがんばりたいと思います。今日はありがとうございました!」
これでその場は一件落着。
他方、「B」はどうか。
まず、変なベクトルが若者に飛んでいかない。がんばる主体はあくまで語り手である先輩だ。だから若者は「圧」を感じない。
より大事な点として、この1on1は若者が主役になってない。
若者にとって、その場・その時間が自分中心なのか、相手中心なのかで心境は大きく異なる。これは多くの人にとってそうだろう。
世代間のギャップを埋めるヒントは…
それに、学生にこの2択を示すときは、この先輩を「一定の実績のある先輩」と規定している。学生の中には、改めてそのことを確認する人もいた。
「え、この先輩、それなりにできる先輩なんですよね? なのに簿記3級とかの勉強を一から始める、みたいな設定ですよね? それってすごくないですか?」
別の学生は、こうも言っていた。
「そういう先輩がいたら、ぜひお手伝いさせてほしいって思うかも。まだ就職してないので何とも言えないんですけど、私は残業とかはあまり気にしないと思うので」
僕はここに一筋の光を見出している。
日本において世代間のギャップを埋める1つのヒントが、ここにあるのではないか。先輩世代(つまり皆さん)が望む姿や未来像とは少し違っているかもしれないが、それでも「ともに前へ進む」ための1つの方法としての光。
今の若者は現役選手しか尊敬しない。そして、若者にとっての「現役」とは何なのかを、ぜひ想像してほしい。