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 人的被害こそなかったものの、2019年以降に北海道の標茶町と厚岸町で放牧中の牛を合わせて66頭も襲い続けたヒグマ「0SO(オソ)18」は、アーバンベアの象徴的存在となった。

 本来、ヒグマは凶暴な性格とは裏腹に前述のとおり木の実などを主食にしているのだが、OSO18は特殊な熊で、肉を主に食べていたとみられる。多くのハンターが躍起になって捜しても見つからず、人前に姿を見せないのはもちろん、固定カメラにもほとんど映らなかったことから「忍者熊」とも呼ばれていた。

 2023年7月にOS018とは認識されぬまま駆除されていたことがわかったが、もしOSO18が牛に飽き足らず「人間の味」に目覚めていたらと思うとゾッとする。

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なぜOSO18は「肉食」になってしまったのか?

 OSO18が肉食になったのは、ハンターが撃ったシカを放置しておくことが原因とも指摘されている。放置されたシカの死骸を食べて肉の味を覚えたのではないかというのだ。射殺後に放置されるシカは多く、それを食べたヒグマが肉食化し、第二、第三のOSO18が生まれる可能性がある。

駆除されたヒグマ「OSO18」(写真:標茶町提供/時事通信社)

 人身被害にしても家畜への被害にしても、専門家らの見立ては「今後さらに増加していくだろう」という意見で一致している。生息域の拡大も気になるところで、アーバン熊は私たちにとって無視できない身近で危険な問題となってくるだろう。