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「浜崎さんが怒っているらしい」と業界で噂に…浜崎あゆみの半生を描いたドラマ「M」最終回当日に本人が見せた“思わぬ反応”〈鈴木おさむが語る〉

『最後のテレビ論』より #2

2024/03/27

source : 週刊文春出版部

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ

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 フジテレビ「SMAP×SMAP」をはじめ、数々のバラエティやドラマを世に送り出してきた放送作家の鈴木おさむさん(51)。今年3月末で、32年間続けた放送作家業を引退する予定だ。

 そんな鈴木さんが、テレビの真実とヒット番組の裏側、そしてテレビへの提言を綴った『最後のテレビ論』(文藝春秋)を上梓した。ここでは、同書より一部を抜粋。浜崎あゆみさんの半生を元にしたドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系、2020年放送)の放送中に起きていた“駆け引き”を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)

鈴木おさむさんが脚本を手がけたドラマ『M 愛すべき人がいて』(番組公式ホームページより)

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浜崎あゆみさんの半生を元にした『M 愛すべき人がいて』ドラマ化の経緯

 芸能界には沢山の歌手・俳優・芸人・タレントがいるが、その中で「スター」と言われる人はごく一部。浜崎あゆみさんは、ブレイクしてから今までずっとスターである。

 フジテレビ「FNS歌謡祭」の現場で浜崎さんをお見かけしたことがある。自分の出番が近づき、とんでもないロングドレスを着て廊下を歩いていたのだが、浜崎さんのドレスのスカートを持って歩いていた人が浜崎さんばかりに気を遣い、近くのとある有名アーティストにぶつかったにもかかわらず、一言も謝らずに去っていき、そのアーティストがめちゃくちゃ怒っていた。もちろん浜崎さんは気づいてない。

 あのドレスを着て歩く姿を見て、スターだなーと思った。

 2020年、テレビ朝日で放送された「M 愛すべき人がいて」という連続ドラマは僕が脚本を書かせて貰った。

 このドラマが製作される2年ほど前だったか、サイバーエージェントの藤田晋社長との会議で、このプロジェクトのことを聞かされた。浜崎あゆみさんの半生を元にした『M 愛すべき人がいて』という名の本を出すこと。そしてそれをテレビ朝日でドラマ化すること。

 浜崎あゆみさんとAvexの松浦勝人さんが出会ってからの関係がベースになっている物語。誰もがちゃんと認めたことはないことを、本にして、ドラマ化する。

アユ役に新人・安斉かれんを抜擢した理由

 最初は良質な大人の恋愛映画のような作りをみんながイメージしていた。会議では、主人公のアユ役はAvex所属の沢尻エリカさんがやるのが話題になるしいいんじゃないかなんて話をしていた。

 そして、本が完成し発売され、狙い通りに大ヒットした。ドラマ化することも発表になった。

 当然、「アユ役は誰だ?」ということになる。Avex側からは、安斉かれんという新人アーティストにアユ役をやらせたいという希望が来た。

 僕は名前を存じ上げていなかった。「演技経験はあるんですか?」という質問に対して、「今、レッスンに行ってます」と返って来た。