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「浜崎さんが怒っているらしい」と業界で噂に…浜崎あゆみの半生を描いたドラマ「M」最終回当日に本人が見せた“思わぬ反応”〈鈴木おさむが語る〉

『最後のテレビ論』より #2

2024/03/27

source : 週刊文春出版部

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ

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 放送が2話、3話と進み、SNSでの突っ込みもどんどん増えていく。

 世の中ではどんどん話題になっていったが、僕にはめちゃくちゃ気になることがあった。松浦さんはドラマについてインスタなどで発信してくれていたのだが、浜崎さんが何も触れていない。何も言わない。

 すると風の便りで、どうやら浜崎さんがドラマの内容に怒っているらしいと聞こえてきた。噂なので本当かどうか分からない。だが、1つ言えるのは、僕が浜崎あゆみさんなら絶対怒る。「私の人生、こんなんじゃないもん」と。

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最終回当日、浜崎さんがインスタで「脱糞しないで下さいませね」と…

 最終回直前になり、僕は毎週連載している自分のエッセイで思い切って書いた。「僕自身が一番心配しています。めちゃくちゃ怒ってたらどうしよう……とか。ドラマについて何も語ってないことが、また興味の対象になってしまっている部分もあります。僕の妄想としては、最終回が終わった後に、インスタとかで『このドラマ、最低だけど最高!』なんてことを書いてくれたら、すべてがオールオッケー、脱糞するほど喜んでしまうと思いますが、それはないのかなと思ったり」と。

 正直言うと、僕の中での勝負だった。これを書くことで、浜崎さんの目に触れて、発信してくれないかなーと。でも、ないか……と思っていたら。

 最終回当日。浜崎さんはインスタでコメントを出したのだ。そこには。「鈴木さん、それが、ありました」という書き出しで始まり、そして「ほんと最低で最高で、大嫌いで大好きでした。脱糞しないで下さいませね。携わられた全ての皆様、お疲れ様でございました!!! 『M』よ、静かに眠れ…」と。

ドラマのモデルになった浜崎あゆみさん(写真は2006年当時) ©文藝春秋

スターは最後に登場して、全部持っていった

 この浜崎さんのコメントは一気に拡散されて話題になりました。これを見た人は思ったでしょう。「浜崎さんは最初から全部見てたんだ。わざと怒ってるようにしてたけど、そんなことない。懐深いね」と。

 僕の想像ですが、多分怒っていたはずです。だけど、想像以上に世の中で話題になっていたので、最後に「ノッたフリをした」んじゃないか。

 どうであれ、最終回が盛り上がったのは事実であり、スターは最後に登場して、全部持っていった。

 ちなみに、僕は浜崎あゆみさんとちゃんと会って話したことはありませんが、そんなスターとの駆け引きが出来たとしたら、作り手としてこんなに幸いなことはありません。

最後のテレビ論

最後のテレビ論

鈴木 おさむ

文藝春秋

2024年3月27日 発売

「浜崎さんが怒っているらしい」と業界で噂に…浜崎あゆみの半生を描いたドラマ「M」最終回当日に本人が見せた“思わぬ反応”〈鈴木おさむが語る〉

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