ヒグマと遭遇した消防士たちは大声を出したり、ピストルを発砲したりしたが、まったく熊は怯まなかったという。

ピストルを撃っても迫ってくる…。写真はイメージ ©getty

 本来、ヒグマは臆病で用心深い生き物であるが、食べ物への執着心は非常に強い。つまり、人間を「獲物」だと認識しているからこそ、あえて自ら消防士たちに近づいてきたのだ。

「人間の味」を覚えた熊の怖さ

「人食い熊」と化していたという点で狂暴性が極めて高く、もし運よく消防士のナイフで殺すことができなかったら、さらなる被害が起きていたのは間違いないだろう。

 前年には、福島町に隣接する渡島管内松前町で高齢夫婦がヒグマに頭部や腕をかじられて重傷を負う事件が起きており、人間の味を覚えた同じ個体ではないかという推測もある。

「熊は人間を捕食する」「人間の味を一度覚えると積極的に人を襲うようになる」という事実を再認識させられた事件でもあり、衝撃度においては2023年のワースト1といえるだろう。

次の記事に続く ヒグマの胃から見つかったのは“9キロの人肉と骨”…ベテラン釣り人の遺体が物語る「ヒグマの恐るべき残虐性」