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この日記についても、前出の倉本氏は「道長としては、自己の家の盛儀を仮名で詳細に記録させ、これを近い将来の妍子や威子、はては後の世代の摂関家后妃にとっての先例として残しておきたかったのだろう」と書いている(前掲書)。
ドラマでは、紫式部が「政によってこの国を変えていく」ことを期待した道長だが、史実から見えるのは、自身と一族の繁栄ばかりをひたすら願う姿である。そんな道長が、紫式部を高く買っていたのはまちがいないが、それも一族の繁栄に役立つからであった。
彼らの若き日の姿は伝わっていない以上、まひろとの熱愛が「なかった」とはいい切れないが。
香原 斗志(かはら・とし)
歴史評論家、音楽評論家
神奈川県出身。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。日本中世史、近世史が中心だが守備範囲は広い。著書に 『カラー版 東京で見つける江戸』(平凡社新書)。ヨーロッパの音楽、美術、建築にも精通し、オペラをはじめとするクラシック音楽の評論活動も行っている。関連する著書に『イタリア・オペラを疑え!』、『魅惑のオペラ歌手50 歌声のカタログ』(ともにアルテスパブリッシング)など。
歴史評論家、音楽評論家
神奈川県出身。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。日本中世史、近世史が中心だが守備範囲は広い。著書に 『カラー版 東京で見つける江戸』(平凡社新書)。ヨーロッパの音楽、美術、建築にも精通し、オペラをはじめとするクラシック音楽の評論活動も行っている。関連する著書に『イタリア・オペラを疑え!』、『魅惑のオペラ歌手50 歌声のカタログ』(ともにアルテスパブリッシング)など。