「書き込みすぎて真っ黒になった台本」が支えるもの
すばらしい原作と脚本、揺らぎのない作家性をもつ監督。それらへの信頼があると、キャストやスタッフは自らの役割だけに集中しやすい。俳優としては、そんな座組みの一員になれることがなによりも幸せなのだという。
「原作と脚本が良いのは言うまでもありませんが、西谷監督の頭の中にはいろいろな演技プランがあって、今回もらった2冊の台本のうち1冊はアイデアを書き込みすぎて真っ黒になったくらい。それほど台本がしっかりしているから、西谷さんに任せていれば大丈夫だという安心感があります。
それはたぶん僕にかぎった話ではなく、福山さんや柴咲さんとも楽屋では演技とは関係のない雑談しかしていませんでしたが、少しも不安を感じず撮影に入っていけた。ほかの出演者の方々もみなさんこれまでのキャリアでベストの演技をしているように感じました」
それを引き出す座組みが盤石だからこそ、ガリレオは15年以上も愛されるシリーズになったのかもしれない。
「以前、みんなと『あと10年、いや20年はやれるんじゃないの?』みたいな話を半分冗談でしたことがあります。実現するかどうかはさておき、大好きなチームの一員でいるために、これからもいろいろなかたちで打席に立ちつづけたいと思っています」
岸良ゆか=文 三宅史郎=写真
kaz(Balance)=スタイリング 安井朋美(T-FACE)=ヘアメイク
衣装協力=バレナ、パイカジ
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きたむら・かずき 1969年、大阪府生まれ。望月六郎監督の『皆月』(99年)、三池崇史監督の『日本黒社会 LEY LINES』(99年)でキネマ旬報新人男優賞をはじめ数々の賞を受賞。近年のおもな映画出演作品に『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(21年)、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(21年)、『ヘルドッグス』(22年)など。
INTRODUCTION:東野圭吾による人気小説を原作にしたガリレオシリーズの映画化第3弾。天才的な頭脳をもつ物理学者・湯川学、湯川のバディ的存在の刑事・内海薫、湯川の親友の刑事・草薙俊平が、9年ぶりに再集結! 福山雅治、北村一輝はもちろん、内海を演じる柴咲コウも2013年のスペシャルドラマ以来の復帰を果たす。おなじみの面々に加え、椎名桔平、檀れい、吉田羊、飯尾和樹、戸田菜穂、酒向芳ら豪華キャストが『ガリレオ』の世界を彩る。
STORY:都内で行方不明になった女子学生が、数年後に静岡県で遺体となって発見された。容疑者として浮かび上がったのは、湯川学(福山雅治)の親友・草薙俊平(北村一輝)がかつて担当した少女殺害事件で、完全黙秘をつらぬき無罪となった蓮沼寛一(村上淳)。蓮沼は今回も同様に完全黙秘を遂行して証拠不十分で釈放され、被害者の住んでいた町へ戻って来た。町全体にはびこる蓮沼への憎悪──。そして夏祭りのパレード当日、事件が起こる。
STAFF & CAST:監督:西谷弘/脚本:福田靖/出演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝/2022年/日本/130分/配給:東宝/©2022 フジテレビジョン、アミューズ、文藝春秋、FNS27社/©2022「沈黙のパレード」製作委員会