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王族は健在な姿を示すことが重要

 チャールズ国王は1月29日に退院したが、2月5日にその後がんと診断されたことを明かし、その5日後には「私自身の診断を伝えることで一般の方々の理解を促進し、英国や世界のがん患者やその家族を支援するすべての組織の活動に光を当てることができた」と発表した。

1月29日、カミラ王妃に付き添われ、退院するチャールズ国王(王室のXより)

 王族は健在な姿を公に示すことが重要だ。皇太子、アン王女に次ぐ人気ナンバー3の皇太子妃が公の場から姿を消して2カ月あまりが過ぎた2月27日、皇太子は「プライベートな問題」で名付け親のギリシャ最後の国王・コンスタンティノス2世の追悼式を45分前にドタキャンした。

 王族にプライベートが許されるのは“母親の子宮の中にいる時だけだ”とも言われる。ドタキャンは皇太子妃の健康状態を巡る憶測に再び火をつけた。この時、ケンジントン宮殿は「順調に回復している」とだけ説明した。米セレブニュースサイトTMZは3月4日、実母の車で移動する皇太子妃の写真を報じた。キャサリン妃の写真が公開されるのは昨年のクリスマス以来だった。

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 母の日の3月10日、皇太子妃は子ども3人に囲まれた家族写真を公開したが、加工が懸念され、通信社から配信を撤回された。11日、「多くのアマチュア写真家がそうであるように、私も時折編集を試みることがある。昨日公開した家族写真が混乱を招いたことをお詫びする」と謝罪した。

 しかし加工前の写真は公表されなかった。

ヘンリー公爵とメーガン夫人はキャサリン妃に連絡したと報じられたが…

 王室取材35年のロバート・ジョブソン氏は「本当にお粗末なミス。なぜ、ケンジントン宮殿はケイトとウィリアムの同意を得てプロのフォトグラファーに家族写真を撮影させて公表するのが適当だと判断しなかったのか。写真が撮りたければ、プロを雇えばよかったんだ」と呆れる。

 結局、キャサリン妃の「がん告白」は2日前に英BBC放送で収録されてから発表された。事前にチェックが重ねられたのは容易に想像できる。英王室伝統のプロトコルにのっとったやり方だった。

 皇太子の秘密主義は「情報の空白」を生み出し、ロンドン・クリニックのスタッフがキャサリン妃の個人的な医療記録に不正アクセスしようとする事件まで起きた。クリニックは1700万ポンド(約32億8200万円)の罰金を科せられる可能性がある。

キャサリン皇太子妃が最後に公の場に姿を見せた、昨年のクリスマスの様子 ©PA Images/時事

 ヘンリー公爵とメーガン夫人はダイアナ元皇太子妃追悼イベントが行われた3月14日、デジタル世界で変革を起こしている人を称える全米黒人地位向上協会(NAACP)アーチェルウェル財団のデジタル公民権賞2024年受賞者を発表した。

 英大衆紙デーリー・メールは「タイミングは偶然ではない。メーガン夫人はダイアナ元妃追悼イベントでウィリアム皇太子がスピーチする数分前にジャムやキッチン用品を売る豪華ライフスタイルブランドの立ち上げも発表した」と報じた。

 ヘンリー公爵とメーガン夫人は今回、キャサリン妃に連絡したと報じられたが、両王子の関係は修復不能なレベルに陥っている。

 アンドルー王子(王位継承順位8位)の未成年者性的虐待疑惑もくすぶる。エリザベス女王という重しを失った英王室はまさに内憂外患の大ピンチだ。