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7000万円の売却益も…“マネーゲーム”の場と化した晴海フラッグの行く末

2024/04/02
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「引き渡し即転売」が早くも出現

 まず板状棟の分譲価格をみてみよう。棟の位置や住戸の階数、方角によって価格は異なるが、販売資料によるとたとえばある棟の3階、3LDK 90.68㎡(27.43坪)の住戸は分譲価格が8110万円だった。坪あたり換算で295万7000円。おおむね坪300万円前後での販売であったことがわかる。

 いっぽう現在中古不動産を取り扱うネット上で、晴海フラッグの売却希望で掲載されている住戸はサイトによって異なるが、ある業者サイトではすでに十数戸が常時掲載されている。サラリーマン先輩が言った「引き渡し即転売」の思惑によるものが早くも出現していることがわかる。

 階数は異なるが同じ棟、同じ面積の4階と思われる住戸の売り希望が掲載されており、希望価格は1億5000万円である。「売れれば」の話ではあるが、坪546万9000円。3階の購入価格の1.85倍、7000万円近くの売却益を目論んでいることがわかる。

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 ちなみにこのサイトに掲載されている晴海フラッグの中古物件、売却価格は平均しておおむね坪当たり550万円前後である。

現在のマーケットではどう評価されるか

 では、この売却希望価格は現在のマーケットではどのように評価されるかを考えよう。現状、晴海フラッグの位置するエリアは業界でいう晴海・勝どきエリアに該当するが、中古マンションの相場観は坪あたり550万円から650万円だ。豊洲エリアになるともうワンランクアップして坪650万円から750万円になる。湾岸エリアにマンションを欲しい人を狙って、エリア内では交通便などで劣る晴海フラッグはマーケット相場の低めで出しておけば売れるという憶測が垣間見れるのである。

 いっぽうで、不動産価格は高騰が続いているので、もう少し後に売却してもっと儲けを出そうと考えるのも投資家心理の常である。ネット上の賃貸仲介サイトを覗くと、晴海フラッグ物件で百花繚乱状態だ。しばらく賃貸で運用し、しかるべきタイミングで今よりも高値で売り抜けようとの思惑の現れだ。人間、欲をかきだすときりがないことの典型例だ。