イイジマサンは言った。
「絶対ヒットさせたいの。頼むね」
数日後、イイジマサンが僕を番組のプロデューサーの所に連れて行ってくれた。プロデューサーは荒木さんといって、彼ら6人が出演するバラエティー番組をずっと作ってきた人だ。荒木さんにとっても大きな勝負になる。寝ずに書いた数十個の企画案を出すと、「いいね! おもしろいね」と、とても喜んでくれた。
そして、「この番組はね、スキーがスノボになって、ディスコがクラブになったようにね、彼ら6人がやることで、今までやってきたことでも、器が変わって味付けが変わって、新しいものに見えると思うんだ」と説明してくれた。
その説明が僕には非常に伝わりやすかった。
斬新すぎる企画は伝わりにくくなる。彼ら6人がやるからこそ、格好良くておもしろく見えることを考えればよいのだと。
バラエティーというものが6人の器で新しい料理に見えることが大事なんだと。
番組は3つの要素で構成されると聞いた。
女優さんをゲストに、メンバーが料理を作るコーナー。
コント企画のコーナー。
CGを多用した歌のコーナー。
料理のコーナーは、メンバーの「モリクン」が料理上手だったことから、企画されたものだった。
6人揃った時のオーラ
23歳の僕は会議に出ても、一番端の席に座らされたが、タクヤとラジオをやってきたからこそ、「負けたくない」と思った。
自分たちと同じ年の男性が見ても、おもしろいと言える番組にしたいと思い、意見を伝えて台本を書いたし、ラジオの時に直接タクヤに企画を投げて「エロいペットが女性を口説くコントとか、おもしろくね?」と話し合って、台本にした。
3月。代官山にあるスタジオで、その番組のビジュアル撮影が行われた。
金色に塗られた6人の顔がアップで写っている。勢いを感じた。
撮影が終わって、スタッフとメンバーと顔合わせを行うことになった。
スタジオにある会議室で、番組のプロデューサー、ディレクター、作家とメンバー6人がテーブルを囲んで挨拶する。
6人全員に生で会うのは初めてだった。
6人揃った時のオーラ。だが、その中にカジュアルさも持ち合わせていた。
リーダーが「よろしくお願いします」と頭を下げる姿を見て、これまでのアイドルっぽくなさが、一気に好きになった。
アイドルがメインのバラエティー番組をGP帯で作るという、誰も挑戦したことのない未来に向けての話し合いは、終始笑顔。みな、期待と希望を語った。