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メンバー脱退の裏で何が起きていたのか…『SMAP×SMAP』放送作家・鈴木おさむによる「覚悟の一冊!」

メンバー脱退の裏で何が起きていたのか…『SMAP×SMAP』放送作家・鈴木おさむによる「覚悟の一冊!」

『もう明日が待っている』#1

2024/03/31

source : ノンフィクション出版

genre : エンタメ, 芸能, 読書

note

 僕は番組を見ながら、彼ら6人のステージがさらに大きく変動していく気がした。

 自分の心臓の鼓動が速くなり、あることを思った。

 もしかしたら、彼らが本気で新しい時代を作るのかもしれない。

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 そして。

 この年の夏が過ぎたころに。ローラースケートを履いて日本中にブームを起こした彼らは。

 グループを卒業……解散した。

 1996年。6人はおもしろくて格好いい今までにない「アイドル」として、人気はかなり上がっていた。

 歌もヒットを連発し、ドラマでも人気になり、そしてバラエティー番組でも活躍を見せる。

 全てのピースが揃っていた。

 中学生・高校生を過ぎたら卒業するのがアイドルファンだったが、彼ら6人は彼らより年上の女性や、お母さん世代までをも魅了していった。

 大人になってもアイドルのファンになることは恥ずかしくないという新しいムーブメントを作り出していた。

前代未聞のテレビ番組

 2月。

 ベッドの横に置いてあった携帯が鳴っているので、布団から手を出して電話に出ると、イイジマサンからだった。

「オサム、一個、やってほしい番組があって。テレビなんだけど」

 23歳の僕はラジオのレギュラーは多かったけど、テレビのレギュラー番組は2本ほどしかなかった。

「今度、6人の新番組を立ち上げることになったの」

 この春から始まる新番組に作家として参加してほしいということだった。

「時間がね、月曜の夜10時なの」

 6人の新番組は、河田町にある人気テレビ局で作られるタレント主体の冠番組で、しかも放送時間が月曜22時。

 時間帯を聞いてドキドキした。

 1996年春までの時点で、テレビのGP帯、ゴールデン・プライムタイムと言われる19時~23時の一番輝かしい時間帯で、アイドルがメインとなる番組が制作されたことはなかったからだ。

 GP帯で作られる番組のメイン出演者は、人気芸人、人気司会者が務めるもので、アイドルがいくら人気があるからといって、メインとして出演することはなかった。

 だからこそ彼ら6人で月曜22時という時間でバラエティー番組を作ることは、局にとっても大きな賭け。そしてなにより、彼らにとっても成功したら時代を変えることになる。