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大谷翔平の前では、韓国のプロ野球選手たちも“ただのファン”になってしまうシンプルな理由「かつてイチロー選手に向けられた感情とは違う」

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 米大リーグ、大谷翔平(29)のドジャースデビュー戦となった開幕2連戦は3月20、21日にソウルで開催された。韓国でメジャー公式戦が行われるのは史上初だ。

  韓国へ到着した際に大谷が妻の真美子さんとのツーショットを初披露したことが話題になったが、直後に水原一平元通訳(39)の違法賭博疑惑が発覚して一気に雰囲気が暗転。期せずして激動の1週間の舞台となったことを、現地・韓国の人々はどう見ていたのか。

大谷翔平と元通訳の水原一平 ©時事通信社

 中日や横浜(現DeNA)で捕手としてプレーし、現在は韓国プロ野球の起亜タイガースでコーチを務める中村武志(57)は期間中の様子をこう言い表した。

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「国民的行事のようでした」――。

大谷フィーバーで「韓国人メジャーリーガーはそっちのけ」?

 野球界で「国民的行事」と言えば、1994年の10月8日のシーズン最終戦が真っ先に思い出される。巨人と中日の勝った方が優勝というこの大一番に、現役だった中村氏も中日の8番キャッチャーとして出場している。巨人の長嶋茂雄監督(当時)がこの試合を「国民的行事」と表現したことはあまりに有名。今回の韓国でのメジャーリーグ開幕戦は、それに迫る熱気だったというのだ。

10.8にも出場していた中村武志。現在は韓国リーグでコーチを務めている ©時事通信社

 韓国メディアは、連日のように大谷を取り上げた。

「『よくぞ来てくれた』という雰囲気でした。テレビをつければ大谷選手ばかりが映っていて、パドレスにいる韓国人メジャーリーガーはそっちのけでした……(苦笑)」(中村氏、以下同)

 パドレスには昨季、韓国選手として初めてゴールドグラブ賞を獲得した金河成内野手と、高祐錫投手が所属している。それでも現地メディアは、自国選手の凱旋帰国よりも大谷にスポットライトを当てたのだ。

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