「向こう30年」発言で韓国から標的にされたイチロー
当時、マリナーズ選手だったイチローは第1回WBCの開幕前に、韓国に対し「向こう30年、日本に勝てないなと思わせるような勝ち方をしたい」と発言したことがある。これが韓国を刺激し、2次リーグで日本を破った韓国の選手がマウンドに太極旗を立て、イチローも「僕の野球人生で最も屈辱的な日」と韓国への強い姿勢を隠さなかった。
この大会以降、イチローはしばしば韓国では標的になってきたのだ。
「しかし大谷選手に対しては、『追い付け、追い越せ』という気持ちですらなく、もっといろんな記録を作って欲しいと全面的に応援する気持ちの選手が多く感じます。日本人とか韓国人とかの区別はなく、世界一の野球選手として捉えています。それどころか、自分が同じ野球選手であることを忘れて大谷選手のファンになってしまうんです」
大谷が出場したメジャー開幕戦の余韻が残るかのように、3日後の韓国プロ野球開幕戦も、各地で観客が大幅に増えたという。
「韓国の野球は、いつもは(日本シリーズにあたる)韓国シリーズぐらいしか満員にならず、球場は空席が目立っています。それが今年は、起亜のゲームも含めて全球場が満員に近かったと聞きました。それも大谷選手が韓国でプレーしたことで、野球への注目、関心が高まった影響があったようで、関係者は『大谷効果』だと口を揃えていました。1人の選手が他国の野球人気にこれほどのインパクトを与えるのは奇跡的なことですよね」
そんなせっかくの熱気に水を差した水原氏の賭博問題だが、大谷に対して疑惑の視線を向けたアメリカメディアとは違い、韓国ではほとんど報じられなかったという。
「少なくとも私の周辺では、この問題はあまり話題になっていません。韓国にとっての大谷は、最後まで『世界的なスーパースター』として扱われていました。個人的にも(水原氏の疑惑で)大谷選手には何も問題がなかったことを願っています」(中村氏)
韓国で確立された大谷のイメージはもしかすると、日米でのそれよりも強いものがあるようだ。