「去年、吉幾三さんが『身内だけのお別れ会しよう』と誘ってくださって、ようやく仲間と一緒に志村さんを偲ぶことができました。師匠が40代の一番元気な時期に、家族のように、親友のように過ごさせてもらった時間は、私にとって大きな財産です」

 志村けん(享年70)についてそう語るのは、女優の川上麻衣子(58)。

 志村が新型コロナウイルスによる肺炎で他界してから、3月29日ではやくも4年が経つ。

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志村けんさん ©文藝春秋

同じマンションで暮らしたことも

 ザ・ドリフターズのメンバーとして “バカ殿様”、“変なおじさん”などの人気キャラクターを生み出し、40年以上にわたりお茶の間に笑いを届けてきた志村。

 そんな稀代のコメディアンの素顔を、近くで見続けたのが飲み友達の川上だ。二人の出会いは1993年に遡る。

「初めてお会いしたのは、志村さんがゴールデンレトリバーを飼い始めた日。同じマンションに住んでいた可愛かずみちゃんが、『これから師匠が子犬を見せにくるから一緒に会おう』と引き合わせてくれて、それから毎日のように一緒に飲むようになりました」

 当時の志村は自分の番組以外にはほとんど出演せず、週4日ネタを書いては、夜になると麻布十番に飲みに繰り出すという日々を送っていた。川上はそんな志村と一時期は同じマンションで暮らしたこともあった。

「その当時私はまだ独身で、芝浦からお台場のマンションへ引っ越す直前でした。ある日麻布十番で飲んで、志村さんに車で家まで送ってもらった時、『私が今度住むマンションにドライブしない?』と誘ったんです。そうしたら志村さんは、外から見ただけでそのマンションが気に入ってしまって。志村さんは三鷹に家がありましたが、テレビ局に近くて移動に便利な部屋があったらいいなと考えていたようです。住み始めてからは互いの部屋を行き来して、志村さんのお部屋で料理を振る舞ってもらったこともあります。お鍋やゴボウの炊き込みご飯なんかをご馳走になりましたね」