Q 中国の「全人代」って誰が参加しているのですか?

 中国で毎年3月に行われる「全人代」(全国人民代表大会)。今年は習近平国家主席のほか3000人近い「代表」が参加したとのことですが、この参加者ってどのように決められ、どんな人が参加しているのですか? 人口が多いといえど、3000人が集まるというのは驚きました。(20代・男性・学生)

習近平国家主席 ©時事通信社

A 国会ではなく、政府の方針に賛成するセレモニーの場です

 全人代のことを日本のメディアはよく「日本の国会に当たる」という表現をしますが、似て非なるものです。

 全人代は中国の最高権力機関とされていますが、これは表向きのこと。3000人もの代表が集まるのですから、実のある討論などできるわけはありませんよね。実際には事前に中国共産党が決めています。つまりは、政府の方針に賛成するセレモニーの場なのです。

ADVERTISEMENT

 参加する代表は全国の省(日本の県に該当)や直轄市(省と同等の権限を持つ。日本の政令指定都市のイメージ)、人民解放軍などから選ばれます。

「国民の代表が参加」という宣伝のために少数民族が民族衣装を着て参加している様子をテレビなどで放映しています。

3月11日、北京で開かれた中国の全国人民代表大会(全人代)の閉幕式の様子 ©時事通信社

代表は選挙で選ばれるわけではない

 日本の国会議員は国民の選挙で選ばれますが、全人代に出席する代表は中国国民の選挙で選ばれるわけではありません。

 中国で国民が直接選べるのは、日本で言えば町内会レベルにとどまります。それも、共産党が指名した候補への信任投票がほとんどです。それでも地域によっては複数の候補者から選ぶことができるようになっているところもありますが、共産党員の候補者が選ばれるように誘導されます。共産党員ではない対立候補は共産党によって嫌がらせを受けたりするのです。

 こうして選ばれた地域の議員たちによる選挙で上級の自治体の議員が選ばれ、その議員たちによって全人代に出席する議員が選ばれるという間接選挙なのです。

 それでも習近平国家主席がどんな報告をしたのか、あるいはひな壇にならぶ幹部たちが、どれだけ習近平にへりくだった様子を見せているか等、外国のメディアは、こういう点に注目して観察しています。

「池上さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!

質問投稿フォーム