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「めちゃくちゃ分かる。その表現!」プロバレーボール選手・柳田将洋が高校時代の悩みや怪我、すべてを乗り越えて、31歳のいま考えていること

「めちゃくちゃ分かる。その表現!」プロバレーボール選手・柳田将洋が高校時代の悩みや怪我、すべてを乗り越えて、31歳のいま考えていること

柳田将洋×坪田侑也『八秒で跳べ』対談

note

高校時代は不安の中で部活を

 

坪田 僕自身は高校1年生の時に、作家デビューと同じタイミングで、バレー部を辞めてしまったので、高いレベルのバレーをあまり知りません。そこは自分としては、大丈夫だろうかと心配しながら書いていたんですが……。

柳田 レベルの高い低いにもよりますが、高校生っていま自分が置かれているところが、絶対に不完全ですよね。たとえ高校チームとして強豪だったとして、どんなに上手だったとしても、その先に僕らみたいなプロがいる。自分はまだまだかな、その先に行けるんだろうかっていう、不安の中で部活をしていますよね。

 

 僕自身もそういう感じで、正直、高校時代は、バレーを続ける気持ちがない時期もありました。この先、バレーを続けていても何かいいことがあるのか? 何に繋がるのか? そういった葛藤があって、春高バレーで優勝した高校の人間として読んでも、共通するものがあります。「俺だったらこうだったな」「俺にはこういうところはなかったな」と、自分に落とし込んで、坪田さんの小説に没入することができました。

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バレーボールにおける重要なメンタルとは!?

 

坪田 僕は『ハイキュー!!』に影響を受けて、中学からバレーをはじめましたし、『ハイキュー!!』を読んだから、バレーに興味を持ったという同級生も多かったですね。ただ、バレーボールの動きや、迫力を文字で書くのは難しくて、それは漫画やアニメのように、動きを見せられた方が絶対に面白い。だから『八秒で跳べ』では、登場人物たちのメンタルの部分を書こうと意識しました。

柳田 確かにメンタルな部分は、結構、読みながら感じていました。すごい考えすぎていて、何だか大丈夫か、と(笑)。

 

坪田 高校生にしたら考えすぎかもれないし、どうしてもうじうじした、主人公を書きがちなんですよね(笑)。

柳田 バレーボールにおけるメンタルは確かに重要だと思うし、これだって非常に表現することが難しいですよね。たとえば、局面が変わっても同じプレーができる、どんな苦しい場面でも、練習で落とし込んだ技術の再現性がある。その上で必ず結果を残せるのが、プロなわけですけど、高校生はそういうわけにはいかないのが、僕自身の経験としても分かります。