周りの人間もボス格のあまりの弱さにビックリしていたようです。
上をシメたら、ほかに文句を言えるやつはいません。だから、別にイジメにあうことなく、逆にイジメる側に回りました。夜間、同室の子を囲んで自慰行為を強制したり、先生の巡回が行ったあとに軽く蹴りを入れたりは普通でした。
私の癇に障る子や気に入らないやつには陰湿なイジメもしました。
なぜ“陰湿なイジメ”が横行するのか?
たとえば、カエル味噌汁の刑です。少年院の配膳係は刑務所のような固定ではなく当番制になっています。そのとき、気に入らないやつの味噌汁に丁寧に皮を剝いだ雨ガエルを入れる――これは気づかずに食べていましたが、食中毒になったという記憶はありません。まあ、下痢くらいはしたでしょうが。
あるいは、便器を拭った歯ブラシを使わせるとか、思い返すと陰湿でしたね。ジメジメした陰湿な手段は個人的には好きではなかったのですが、殴る蹴るを表立ってやると、こっちが懲罰を食らいますから、少年院では損なのです。
だから、ストレスがたまる嫌いなやつには、先生にバレないよう、そうした陰湿な仕返しを考案したのです。私としては波風立てていないつもりですが、少しイジメるとチンコロ(密告)する者もいます。それをされると懲罰ですから、なかなか級が上がらないのです。
思い返したら、単独房や昼夜独居房は常連でしたから、少年院では懲罰が多かった気がします。だから、初回の入院で1年3ヶ月も仮退院できなかったのかもしれません。