神様のように崇めていたアイドルが性犯罪の加害者だった。
3月30日に公開されたオ・セヨン監督の映画『成功したオタク』(2021)は、「推し」の性犯罪に戸惑い、悩むファンたちを追ったドキュメンタリーだ。オ監督自身、歌手チョン・ジュニョンの熱狂的なファンだった。ジュニョンは2019年、性犯罪者として逮捕され、集団で女性に性的暴行を加えた罪と、隠し撮りしたわいせつ動画を流布した罪で懲役5年の判決を受けた。
韓国では2018年に#MeToo運動が広まって以降、ジュニョン以外にも多くの芸能人が性犯罪の加害者として告発された。ファンたちはどう受け止めているのか、日本公開に合わせて来日したオ監督に話を聞いた。
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「推し」を信じた2016年、事実を認めるしかなかった2019年
――監督やファンの方々にとって、“性犯罪”だったというのも大きかったのでは?
オ監督 飲酒運転や賭博など他の犯罪でももちろんショックですが、ファンはほとんど女性なので、性犯罪という点でよりショックは大きかったです。被害者が女性ですから。
――映画に登場するファンたちは熱心に「推し活」をしていた方々ですが、犯罪事実が分かって以降、冷静に判断して「推し」を批判していました。どの時点でそうなるのか、共通点はありますか?
オ監督 チョン・ジュニョンさんの場合、2016年にも似たような件で報道されたことがあって、でもそれは違ったということになりました。当時はそんなことするわけないと、神様のように絶対的に信じていました。巻き込まれてかわいそうで、ご飯も喉が通らず、記事を書いた記者を恨みました。
――それが、2019年の時は認めざるを得なかった?
オ監督 2019年の時は、わいせつ動画を共有していたアプリ「カカオトーク」のグループチャットが公開されて、はっきりとした証拠があったので、認めざるを得ませんでした。