1ページ目から読む
2/2ページ目

 困った人を助けたいと、ただその一心で手弁当でやってくる、今の政治家に爪のアカでも煎じて飲ませたいような善意のボランティアでも充分ありがたいんやが、今、輪島や珠洲の民がのどから手が出るほど待ち望んでいるのは油圧ジャッキやチェーン・ソーを駆使し、瓦礫の下に潜り込めたり、油圧ショベルやダンプを操れる技術や装備を有する特殊技能ボランティアなのである。

 現に不肖・宮嶋も珠洲市でそんな数少ないボランティアを目撃した。愛知から駆けつけた特殊技能を有するボランティアが住民の依頼を受け倒壊した住宅の壁を油圧ジャッキで持ち上げ寝室に潜りこみ1時間後に見事、金庫を2つも救出してきたのである。住民の老婦人は金庫を開けるや無傷の熨斗袋にほおずりして胸をなでおろした。

「孫に渡す新築祝いなの…よかったあ! よくぞ3カ月も泥棒に盗られずに…」と。瓦礫と化した我が家を前に、孫の新築を祝う優しいおばあさんであった。

ADVERTISEMENT

©宮嶋茂樹

輪島朝市には警視庁の警察官がパトロールする姿も

 なんとかそんな住民の不安を解消するために警察も手をこまねいて見ているだけのわけはない。いま能登半島にはサミット会場もかくやというぐらい、すみずみにまで日本全国から派遣された警察官やパトカーが配置されている。いまだ黒焦げの輪島朝市では警視庁の警察官がパトロールをつづけ、通りでカメラを構える人に次々と「どこからいらっしゃいましたあ?」などと声をかけていた。

 自衛隊も入浴支援や人が集まる学校などには警務隊が出張って目を光らせている。

 不肖・宮嶋も輪島市内で職務質問を受けたぐらいである。まあ被災地ではお邪魔虫でしかない我らカメラマンである。カメラを担いで現場に立っていればそやないが、他府県ナンバーの車でウロウロしてると、モロ不審者である。しかもよりによって故郷、兵庫県警の覆面パトカーにであった。

 報道カメラマンは、たしかにお邪魔虫かもしれぬ。だが被害に遭われた方々の窮状を少しでも多くの方々にお伝えするため、これからも醜態を晒し続けてでも現場に足を運ぶつもりである。