日本唯一の、そして世界でも数少ない本格的写真芸術の文化施設として知られる東京都写真美術館。

 同館で楽しめるのは写真だけではない。1階ホールでは展示の関連事業の他、一般の映画館と異なるユニークで多彩なラインナップの作品を上映している。

例年夏には『東京裁判』を上映

 写真の展示とリンクした作品の上映は、同館が得意とするところ。

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 上映事業を担当する中村浩美さんは「土門拳さんの古寺巡礼の展示に合わせ、伝説の宮大工のドキュメンタリー作品を上映したところ、展示との親和性が高かったことから、どちらも鑑賞されたお客様が驚くほど多かったです」と語る。

©熊崎敬

 また例年夏になると、過去の戦争を忘れないために『東京裁判』を上映。「4時間超の大作ですが、若いお客様も来られることがわかり、恒例となりました。『東京裁判』の前後に沖縄戦を描いた作品も上映していました」と上映担当の遠山樹里さんは言う。

 同館のラインナップは国際色豊かで、目に触れる機会が少ないアジアのドキュメンタリーも数多く上映。多様化するファンの嗜好に応えている。

子ども対象企画や活弁士付きサイレント映画上映も実施

 公立美術館の上映ホールというとアカデミックな大人向けホールと思われるかもしれないが、新たな趣向も柔軟に取り入れている。