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実際に住んで見えてきた、駅遠物件のメリットとデメリット

 彼が現在住んでいる部屋は、1LDKで家賃8万円の賃貸マンション。専有面積も広く、最寄り駅から渋谷まで電車で20分ほどで出られるなど“駅遠”以外は好条件に思えたため、内見に向かった。

「実際に部屋を見ると、日当たりもよくて気に入りました。不動産屋さんは『一人暮らしの部屋としては広いけど、ファミリー層には少し狭い。そして何より駅から徒歩30分という条件がネックで、なかなか入居者が決まらない』と嘆いていたんです。

 考えてみれば、自分はネット環境さえあれば仕事ができるので、駅からの距離はあまり重要ではないんですよね。加えて、契約してくれたら中古の電動アシスト付き自転車もオマケする、と提案されたのが最後のひと押しになり、入居を決めました」

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現在、松田さんが住んでいる部屋の間取りを再現したもの。一人暮らしの部屋にしては広々としている

 入居審査も無事に通過し、いよいよスタートした松田さんの“駅遠物件”生活。実際に数か月住んで見えてきた、駅遠物件のメリットとデメリットとは?

出費が減り、運動量が増えた。“駅遠物件”のメリット

「メリットは『自然の多さ』。これは、入居前に不動産屋さんがもっとも推していたポイントです。目黒の家では窓を締め切っていましたが、今は緑が多くて空気もいいので、時折窓を開けて風を入れるようになりました。それと、目黒時代に比べてタバコを吸う本数が減ったのは、思わぬ副産物でしたね。個人の感覚ですが、都心にいた頃は、街のせわしさに合わせてタバコを頻繁に吸っていたように思います」

松田家のベランダから見える景色(松田さん提供)。「目にもやさしいし、木々がちょうど目隠しになっていて、部屋の中が外から見えないのもいいですよね」(松田さん)

 そして、最大のメリットは「家賃を抑えつつ広い部屋に住める点にある」と、松田さんは語る。

「仕事部屋と居住スペースを区切って生活ができるのは、とても快適です。最寄り駅にある1LDKの駅チカ物件は家賃10万円を超えるものばかりでしたが、うちは8万円。もっと東京23区から離れた地域では事情が違うと思いますが、僕が住んでいるエリアと路線の場合、駅から30分以上歩かなければ今の家賃と部屋のスペックは両立できないようです」

 また、近隣に飲食店もなく、誘惑が少ないので仕事に集中できるという利点も。駅からの道のりを歩くだけでもとても運動になるという。

「坂が多い地域なので、特別な運動をする必要がないですね。東京に住んでいた頃よりも歩く機会が増えて、健康的な生活を送っています。足腰が鍛えられるので、元気なお年寄りが多い印象です」

 駅遠物件のメリットは、節約と健康的な生活にあるようだ。