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「何をするにも遠く、出会いがまったくない」

 一方、デメリットについて尋ねると「何をするにも遠い」と、松田さん。

「『当たり前じゃん!』とツッコまれるかもしれませんが、駅が遠いということは、スーパーや役所も遠いんです(笑)。日中はバスを利用していますが、遅い時間になるとバスもタクシーもないので、暗い夜道をとぼとぼ歩かなければなりません。もうひとつのデメリットは、出会いがないこと。マッチングアプリを使って近所でマッチングしようとしても、誰一人として表示されませんでした」

※写真はイメージ ©Gengorou イメージマート

 そして、不便さ以外にも“単身者が浮きやすい”というデメリットもあるという。

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「駅から徒歩30分のエリアにある住宅は、ほとんどが一軒家。ファミリー層やシニア層が中心なので、お昼にスーツを着ていない成人男性が外を歩いているのは珍しいようで。しかも僕の場合は、髪型や服装も派手なほうなのでかなり目立っていると思います。家の近くを歩いていると、ご近所さんが『ギョッ』としているのを感じますね」

 市街地ならば珍しくないファッションも、郊外では目立って見えることも。松田さんは「駅から離れるほど、近隣住民の様子が気になる住民が多くなるのかもしれない」と分析する。

「入居したあとに管理人さんと話す機会があり、他の入居者から『この前入居してきた人は午前中に外に出て来ないけど、何している人なの?』という声が届いていたと聞きました。これまで暮らしていた物件では大家さんや管理人さんと話す機会もほとんどなかったですし、隣人の存在を意識することもありませんでした。僕は地方出身なので、なんだか実家での暮らしを思い出しましたね」

 都心での生活の感覚を持ち込みすぎないのが、“駅遠物件”で快適に暮らすコツとのこと。

次も“駅遠物件”に住みたい?

 穏やかな生活を求めて“駅遠物件”に引っ越し、メリットとデメリットが見えてきた松田さんに「次の家はどうしますか?」と尋ねると……。

「さすがに徒歩30分は遠すぎるので、次は駅から10分以内の物件にしたいです。ただ、短期間で転居を繰り返してお金を使ってしまったので、引っ越しは当分先ですけどね(笑)」

 当然ながら、最寄り駅との最適な距離は人によって異なる。“駅遠物件”への入居を検討している人の参考になれば幸いだ。