過去のイメージを逆手に取って…
2022年に大ヒットした恋愛ドラマ『silent』(フジテレビ系)では、主人公の元恋人で聴覚障害を持つ青年の母親役でバイプレイヤーとして出演。登場シーン自体はさほど多くなかったものの、疲れた母親を演じきり、かっこよさや色っぽさを消していた姿に衝撃を受けた人もいたかもしれません。
昨年10月期『ハイエナ』(テレビ東京系)では、山崎育三郎さんとのダブル主演で約3年ぶりに地上波連ドラに主演しますが、あまり話題にならず低視聴率のまま終了するという憂き目に。
そんな停滞ムードが漂っていたなか、スタートしたのが今期のドラマ『イップス』でした。
ドラマ公式サイトに寄せたコメントのなかで、篠原さん自身が「今まで経験したことの無いような役柄でもあるので、貴重な体験になりそうでワクワクしています」と語っていますが、確かに今作の主人公は新境地。
というのも今回演じているのは、売れっ子作家という自負があるため、ワイドショーでコメンテーターをしているときなど、表向きは“かっこいい女”風の発言をしているものの、実は偏屈で口が悪く、突飛な行動も起こす“めんどくさい女”。ただ、いたるところにツッコミどころがあるチャーミングさも持ち合わせており、愛すべきキャラクターになっているのです。
言わば『イップス』での演技は、『anego[アネゴ]』、『アンフェア』、『ハケンの品格』などで積み上げてきたイメージを本人みずから逆手に取っているようなもの。
過去のクールビューティーのブランドが、お笑いで言うところの“振り”として機能して、篠原さんが“めんどくさい女”を思いきり演じれば演じるほど、自虐として活きてくるという秀逸な構造になっているのです。
バカリズムさんとのテンポのいい掛け合いもクスッと笑える小ネタが多く、会話劇としてのクオリティの高さも感じる『イップス』。今作がヒットし篠原さんが大復活する可能性は、充分あると睨んでいます。