楽器OKの物件でも、大音量で楽器の音をかき鳴らしたり、YouTuberが大きな声で収録したりすると、「隣接する部屋にも音が伝わります」と橋本さん。
「私が担当している物件には、深夜割引サービスを実施している貸しスタジオがあり、住人の方から『深夜にドラムの音が響いて眠れない』とのクレームが入りました。また、不特定多数の人が出入りしてエントランスの前で騒いだり、喫煙したり、ゴミが散らばっていたりして、近隣の人が困っていたんです。そこですぐに部屋の借り主に連絡して、ほかの住民からの苦情を直接伝えました」
契約書に「近隣住民に迷惑をかけない」という条件があったため、それを盾に交渉したところ、深夜の騒音はなくなったそう。
音に敏感な人が避けるべきエリアは…
飲食店とは異なり、貸しスペースは外観からは判断できない。そのため「今後はこうしたトラブルがさらに増える可能性が高い」と橋本さんは話す。
「同じ建物内でなくても、消防署や大きな病院が近所にある物件は、音に敏感な人は避けるのがベター。人々の生活にとって重要な施設ではありますが、これは実際に住んでから分かることですね」
テナント物件で暮らすメリット
テナント物件の騒音が“住みにくさ”につながる可能性はゼロではない。しかし、使い方によってはメリットもある、と橋本さんは話す。
「じつは、私が住んでいる部屋のすぐ下に深夜まで営業している居酒屋があるんです。夜間は人の声がガヤガヤうるさいですが、こちらは夜遅い時間にルームランナーで走っても文句は言われません。生活音を気にせず暮らせるのはいい点です。
住まいを提案する際も『小さな子どもがいる』『時間に関係なくミシンを使いたい』という希望がある人には、テナントの上をおすすめしているんです。実際、クレームも少ないですね」
自分自身が騒音の発生源になりそうな人は、テナントや会社の事務所、駐車場の上の角部屋を選ぶのもアリかもしれない。