文春オンライン

SMAP“公開謝罪番組”が残した深い傷…「放送作家として参加した僕も戦犯である」

『もう明日が待っている』『最後のテレビ論』を読む

2024/04/21
note

 SMAPのマネジメントをしていた飯島三智は、世間や業界の常識にまったく囚われない。「アイドルかくあるべし」「タレントは時勢に口を挟むな」などの外野の声を無視し、SMAPを時代に伴走する人気グループに仕立て、新しいアイドル像を築いた。

『SMAP×SMAP』のプロデューサーは、バラエティー番組に出るはずもないと思われていた高倉健に、1年間毎週手紙を送り続け出演へこぎつけた。

「他人がやらない努力を積み重ねないと成果は出ない。

ADVERTISEMENT

 相手が『本物』ならば、その努力はきっと届く。」

 という鈴木の言葉には深く頷かされる。

木村拓哉の生き方は「とてつもなく疲れると思うが…」

 演者としての木村拓哉は、バラエティー番組内で共演した大物俳優があえて挑発気味に向かってきてスタジオに緊張が走ったところを、一歩も引かず対峙しながら話頭を笑いが起こる方向へ持っていった。

 鈴木の知る木村拓哉は、決して逃げないし弱音を吐かない人なのだという。

木村拓哉 ©時事通信社

「それはそれでとてつもなく疲れると思うが、彼はその人生を選んで生きている。」

 スターという仕事を全身で引き受け生きてきたわけだ。

 鈴木おさむ本人も含め、彼の周りにいるテレビの人たちの仕事ぶりは極めて「熱い」。こちとら好きでやってるんだ、エンターテインメントをつくるにはいつだってやりすぎるくらいでちょうどいい、との精神が横溢している。

 リズムと勢いのある文体で読み味はやさしいが、愉しい事例に満ちた骨太の仕事論として読むことのできる一冊だ。

国民的アイドルグループの“奮闘と葛藤”

『もう明日が待っている』もまた、一面では仕事論として読み進められる。

 1990年代にデビューしたアイドルグループ(明示はされないもののモデルがSMAPであることはだれにもわかる)のメンバーたちが、新しいアイドル像をつくり上げることをみずからの仕事と定めプロフェッショナリズムに徹し、国民的人気を得る。その過程を、放送作家として彼らとともに歩んできた「僕」(=明らかに鈴木おさむ本人)の視点から、物語として描いていく。