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1・信頼関係構築

 「信頼関係構築」の章では、相手との信頼関係を築くための会話スクリプトと、どんな相手を狙ったらいいかが書かれている。渡辺容疑者は日常会話を「信頼関係を構築する手段」だと定義しており、信頼関係を構築するには

•おぢのことを知る
•おぢの「楽しい思い出」を作る
•クソおぢを見極める
•頂き女子活動の不安をなくす

 ことの4点が大切だとマニュアルで語っている。

 この4点を整理してまとめると、日常会話の中で相手がどんなことを楽しく思うかをリサーチしたうえで、相手に楽しい思いをさせる。そうすると、相手の中で「自分への信頼」が生まれるため、「相手が何を考えているのかわからないことがなくなる」「お金の無心をして見限られる不安がなくなる」と書かれている。

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 それぞれのステップには、具体的に何をすべきか、例文、その行動によって相手の心理がどのように変化するかが書かれている。

「頂き女子活動の仕方」マニュアルより

 たとえば、「おぢのことを知る」というステップでは

おぢがどんな性格でどんな価値観をもっているのかを

たくさん探っていきましょう

おぢもたくさん⾃分に興味を⽰してくれると嬉しいし

おぢがどんな⼈なのか知るのは、頂き⼥⼦活動の中でとっても重要です

どんな⼈かわからないままどんどん活動を進めてしまうと

おぢも⾃分も不信感があるので頂きがうまくいきません

 と解説が行われており、例文も用意されている。

「おぢって優しいし友達多そうだよね︕」

「おぢってお休みの⽇何することがおおいのー︖」

「おぢ今なにしてるのー︖」

 こうして信頼関係を構築するのは、相手に恋愛感情を抱かせ金銭の要求を成功させるためだ。

 このフェーズでは最終的に、相手に恋愛感情を抱かせるために「朝起きて真っ先におぢにLINEするのが⽇課になったよ笑」「朝おはよって⾔い合えるの嬉しいなあ」といった形の「相手に好意を持っている前提」の会話を行っていくことで、「相手に喜んでもらう」「幸福感を与えてあげる」ことが目標になるという。

渡辺容疑者が実際におぢとやり取りしている様子

 渡辺容疑者は詐欺のマニュアルを作成しているにもかかわらず、相手に恋愛感情を抱かせることを「相手に喜んでもらう」「幸福感を与えてあげる」と、マイルドな表現にしていることが印象的だ。

「惚れさせる」「依存させる」という強い表現を使わず、こうした表現を使っていたのは、詐欺の教唆にならないよう注意したためともとれるが、「相手を舐める気持ちが文面に現れると、詐欺が成功しづらくなる」ということをマニュアルに込めていた、とも考えられる。