「終点まであと10分」「あと8分」「頑張れ、あと5分」などと残り時間を考えつつ、足をモジモジしたり尿道に力を入れたりしながら運転している。場合により、ちょろっとだけ漏れてしまうこともある。いつもより車内アナウンスの声が甲高くなったりする。冬場の朝の運行ならではの苦労だ。
「膀胱をやわらかくする薬」を使ったことも…
トイレ我慢もつらいので、なんとかならないかと病院に行った。医師が言うには、「歳をとって膀胱が固くなってきたので、尿が我慢できにくくなっている」。そして処方されたのは「膀胱をやわらかくする薬」だった。
薬で膀胱をやわらかくできれば、今よりも我慢がきくようになるという医師の言葉を信じ、藁にもすがる思いで1錠200円するその新薬を、1日1錠飲み始めた。
ところが、なかなか効果を感じない。寒さが本格化し、トイレの近くなる12月から飲み始めたのだが、1カ月経っても、2カ月経っても、状況は変わらない。
例年どおりのモジモジ我慢大会が続く。3カ月がすぎるころには尿意を我慢できるようになってきたが、これは薬のチカラではなく、季節が変わって気温が上がったおかげだろう。結局、この薬はこの年だけでやめた。
オムツは着用できない…ならば
その次の年、またあの季節が近づいてきて、対策を考えた私は、オムツの着用も視野に入れ始めた。これなら多少の尿漏れも問題ない。
しかし、大人用の紙オムツだとズボンを履いていても臀部が盛り上がって見えてしまうのが恥ずかしい。バスドライバーの臀部など誰も気にしない? そりゃ そうだろうが、まだそんな歳ではないという抵抗感もあり、紙オムツ着用には至っていない。
そんな私の冬場尿漏れ対策は、通販で3枚5000円の尿漏れ対応トランクスだ。10~ 20cc程度の尿漏れならこれでばっちりという優れもの。
冬の朝限定なので、この季節さえ乗り切ればと、運転中、気持ちと一緒に尿道を締める私であった。