愛されキャラのジョンを取り巻く女性たち
こうして見るとポールとの再会といいジュリアンとの交流といい、「失われた週末」はジョンにとって「あれはいい週末(=休暇)だった」と懐かしむ意味合いがあったように感じられる。それを支えたメイ。妻のヨーコ。先妻のシンシア。
ジョンを取り巻く女性たちの物語がメイの語りを軸に展開する。そこでシンシアはとても穏やかで親切な人物として描かれる。
それを観ながら私の脳裏には「敵の敵は味方」という言葉が思い浮かぶ、のはちょっと意地悪すぎか?
メイからの電話を取り次がないヨーコ
一方でヨーコについて語る内容はどこかとげとげしい。
ジュリアンからの電話を「ジョンにつながないで」とメイに命じたとか。ヨーコの元に戻ったジョンと電話で話そうとしてもヨーコが何かと理由をつけて取り次がないとか。
三角関係なんだからしょうがないとも言えるが、心をざわつかせる部分ではある。
つくづく思うのは…ジョンってわがままで甘えん坊で罪な奴だ。でも甘え上手というか、愛されキャラなんだよなあ。音楽ファン的にもポール派よりジョン派が多い気がする。人間、愛されるのが一番だよね。
最後、ジョン自身が愛について語るのを聞いて、「お前が言う?」とツッコんでしまうのは私だけだろうか。
『ジョン・レノン 失われた週末』
STORY
19歳で音楽業界に飛び込んだメイが、ジョンとヨーコに初めて出会ったのは1970年。2人に気に入られ、専属の個人秘書になった。ベトナム反戦運動のシンボルとして当時のニクソン政権から睨まれたり、ビートルズ解散の後処理などのストレスが重なり、ナーバスになっていったジョンは衝動的な浮気を繰り返すようになった。
ヨーコは“安全策”としてメイにジョンの恋人になるように求めた。「あなた、ボーイフレンドいないわよね?」。だがヨーコの誤算は、ジョンとメイの間に本気の恋心が芽生えたことだった――。
STAFF&CAST
監督:イヴ・ブランドスタイン、リチャード・カウフマン、スチュアート・サミュエルズ出演:メイ・パン、ジョン・レノン、ジュリアン・レノン、ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン/2022年/アメリカ/94分/配給:ミモザフィルムズ/5月10日~全国順次公開