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「タダでいいから引き取ってほしい」土地を譲り受けるのはどんな人?

 引き合いが強いのは建物付きの物件で、別途管理費用が発生する別荘地の物件は、敬遠される傾向が多いという。土地を譲り受ける人の特徴についても聞いてみた。

「投資目的の人や、プライベートのキャンプ場を作りたい人など、土地の使い方は様々です。ただ、ビジネスで活用する人は、あまり多くない印象です」(中村さん)

 思い返せば、我が家の負動産を手に入れた人も、キャンプ場として利用したいと言っていた。問い合わせのあったもう1件もキャンプ場の利用目的だったので、もしかしたら、ワイルドな自分だけのキャンプ場を手に入れたい人は、思いのほか多いのかもしれない。

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九十九里浜まで徒歩1時間以上かかる竹内氏の家の「負動産」の立地も、人によって評価が変わるのかも…?

「旅費や調査費は全て自腹」のサポーター制度も…ボランティア登録をする人たち“それぞれの理由”

 ユニークなサービスとして「みん0サポーター制度」がある。

 物件を登録した人が遠方に住んでいる場合、その土地の状況を確認したり、写真を撮影したりすることが難しい。その場合、「みん0サポーター制度」を活用すれば、その土地の近くに住んでいるサポーターが、土地の持ち主に代わって写真撮影や現地調査に行ってくれる。

 しかし、旅費や調査費は全て自腹で、報酬の代わりとして、調査物件の優先交渉権を与えられるのみ。0円物件を0円で調査してくれるボランティアがいること自体に驚かされた。そんな稀有な人は数えるほどしかいないと思っていたが、現在、「みん0サポーター」の登録者は全国に約1500人いるという。

 調査を請け負う人の事情も様々である。0円の物件を好奇心で見たい人、みんなの0円物件のSDGsのコンセプトに共感してくれた人。

「意外に多いのが『外出したいけど、外出する理由がない人』です。0円物件を調査しに行くという大義名分があれば、日帰りでも泊りでも、外出する理由ができますからね」(中村さん)

 誰にも見向きもされない負動産は、旅の目的にもなっているようである。

 近年は国土交通省の「空き家対策担い手強化・連携促進モデル事業」にも採択されて、北海道や香川県、愛媛県などの市町の自治体と連携をしながら、空き家対策の課題にも取り組んでいるという。