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「昔はいつ死んでもいいと思っていた」…暗い作品ばかり描いていた“49歳・美人漫画家”が「明るい美容漫画」で再ブレイクできた理由

漫画家・まんきつさんインタビュー #2

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 漫画家・まんきつさん(49歳)は、『まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど』や『アル中ワンダーランド』など自身の体験を赤裸々に描いたエッセイ漫画で注目を集め、その作風は時に「自虐的」とも評された。

 しかし、最新作『そうです、私が美容バカです。』(マガジンハウス)では、おもしろさはそのままに、絵も内容も一気にポップな方向に……。彼女に何が起きたのか?(全2回の2回目/前編を読む)

ポップな美容漫画に挑戦して大ヒット――昔は暗い作風で人気を集めていたまんきつさんに何が起きたのか?(画像:『そうです、私が美容バカです。』第1話より)

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トークイベントから生まれた最新作『美容バカ』

――美容オタクというのは知っていましたが、まんきつさんが美容エッセイ漫画を描くと最初に聞いたとき、これまでの作品とのギャップを感じて驚きました。どのような経緯で生まれた作品だったのでしょうか?

まんきつ もともと漫画家の鳥飼茜ちゃん、編集者の角由紀子ちゃんたちと一緒に「『30代に見える80歳』を目指す」というコンセプトの美容トークイベントをやっていたんですよ。イベントを告知した時点で、担当編集の柳川さんから「美容の漫画を描きませんか?」と連絡が来ました。めちゃくちゃ速いですよね。

担当編集・柳川(以下、柳川) まんきつさんのようなテンションの方が描けば、絶対にひとつの漫画作品としておもしろい美容漫画が出来ると感じました。男性ファンの方から「まんきつさんが美容漫画?」と驚く声もありましたが、実際に読んでいただけたら「やっぱりまんきつさんだ」と安心していただけたようです。

――過去作品を読み返したら、「同居していた祖母が民間療法大好きで、スイカを食べた後は美肌のために一心不乱に顔に皮をこすりつけていた」というエピソードがあって、まんきつさんの美容へのこだわりのルーツはここだろうかと感じました。

まんきつ たしかに~。すごく美容と長寿への執念がすごいおばあちゃんだったんですよね。瓶にぎっしり詰まったウミガメの玉子をせっせと食べて、変な匂いのする野草を毎日煮詰めていました。結局骨折して寝たきりになっちゃったんですけど、内臓は最後までどこも異常がありませんでした。

『そうです、私が美容バカです。』が大ヒット中の漫画家・まんきつさん ©細田忠/文藝春秋

――『湯遊ワンダーランド』はドラマ化もされて代表作と言える作品ですが、けっこうダウナーな雰囲気でしたよね。『そうです、私が美容バカです。』はなんだか一気に明るくなって……。