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まんきつ 『湯遊ワンダーランド』が終わった後くらいから、ほんの少し生きやすくなったんですよね。サウナが良かったのか、カウセリングに通ったのが良かったのか、実家と距離を置いたのが良かったのか、単に年齢を重ねたからか……。はっきりとした理由はわかりませんが、ずっと「いつ死んでもいい」と思っていたのが、ある時から急に楽になりました。

――『湯遊ワンダーランド』が完結した頃、「『作者が幸せになると作品がつまらなくなる』と言われるけど、作者本人が楽しい、幸せと思いながら漫画を描くほうが作品は絶対良くなる」とインタビューで話していましたよね。それは今も同じ考えでしょうか?

まんきつ それはちょっと難しいところで、少々イヤなことがあったほうが「描くぞ!」という気持ちにはなれるんですよね。「この野郎!」という勢いで作業に向かえるというか(笑)。あまり落ち込みすぎると漫画どころじゃないので、ネタになる程度にイヤなことがたまに起こるくらいがちょうどいいですね。

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――世のエッセイ漫画家の本音ですね(笑)。美容はセルフケア、自己肯定感の文脈で語られることも多いですよね。

まんきつ 美容は毎日ルーティンで行うことなので、そういう意味では心のバロメーターになりますよね。本当にダメなときって、窓を開けることすらできなくなりますから。あと美容って、やったら必ず返ってくるんですよ。漫画は1本描くのに1か月、2か月かかりますし、どんな反応が返ってくるかすぐにはわからない。でも美容って1週間程度でリターンがあるので、手っ取り早く達成感が得られるんですよね。

 さらにすぐリターンが得られるので、お菓子作りにハマっていた時期もあります。2時間くらい作業して、「上手く焼けた!」って。あとはやっぱり、どんなに落ち込んでいるときも「でも私、肌キレイだし」っていうのが心の支えになってくれるのが良い……(笑)。

『美容バカ』はシーズン2も準備中

――美容において目標はあるのでしょうか? 何かゴールのようなものがあるというより、ひたすら最高の状態を更新し続けるのみですか?

まんきつ 「将来こんな70歳になりたい」というイメージがあるんですよ。例を出すとすれば、作家の角野栄子さんみたいな感じかな。髪が真っ白で、カラフルな服を着て、オシャレなメガネをかけたおばあさんになりたいですね。

©細田忠/文藝春秋

――順調に道を歩んでいると思います! 最後に、『美容バカ』はシーズン2を準備中だと聞きました。どんな内容になる予定ですか?

まんきつ シーズン1の内容は、美容にある程度感心がある人だったら知っている情報ばかりだったと思います。なので、いわばシーズン1は初級編。シーズン2はもう少し中級者向けの内容になる予定です。そして、もしシーズン3があるのならば、上級者向けにできたらなと。……どこまで描けるかわかりませんけどね(笑)。  

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