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――今回、パリ五輪の出場権を獲得できた要因は何だと思いますか。

 大岩(剛)監督が厳しい日程を考慮し、2チーム分の編成をしてターンオーバーで戦ったのがすごく大きかったと思います。多少メンバーが変わっても同じようなサッカーができるし、特徴がある選手が多いので、うまく使い分けてチームに変化をつけて戦った。

 攻撃面でいえば、セットプレーが武器になっていた。高井(幸大)や木村(誠二)といった高さのある選手がいて、キッカーも荒木、松木と質の高いボールを蹴る選手がいる。

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 守備に関してはGK小久保(玲央ブライアン)と、DFの木村、高井の安定感が抜群だった。松木と藤田のボール奪取と豊富な運動量もチームにとっては大きかった。あれだけ動いてくれれば、最終ラインは楽ですよ。

イラク戦で先制ゴールを決めた細谷真央 ©時事通信社

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――大岩監督の采配については、どう見ていますか。

 監督はDF出身なので、守備はよく整備されていたと思います。選手も守備の意識が高く、トレーニングされた通りにプレーできていた。

 ただ、選手交代で、「その選手を入れるの?」というシーンがあったし、日韓戦での攻撃面の修正とか、攻撃の組み立てのところは課題ですね。五輪はよりシビアな戦いになるので、監督の采配が勝敗を分けることになる。本大会までに攻撃面でのブラッシュアップが必要かなと思います。

――このチームで、日本代表でのプレーが楽しみな選手はいますか。

 まず、藤田でしょう。攻守にあれだけ貢献できる選手はなかなかいない。パリ五輪が終わったら、A代表でプレーしてもいいと思う。あと、小久保ですね。落ち着いているし、安定感もある。そういうのがGKにはすごく大事で、いずれ代表のGK争いにもかかわってくるでしょう。

 高井と木村のセンターバックもいい。木村はセットプレーで得点源になっていたし、秋田(豊)さん、中澤(佑二)、闘莉王(田中マルクス)のように、点が取れるセンターバックの存在は非常に大きい。高井は、192cmの身長が魅力。背丈があるけど、俊敏に動けるし、カバーリング能力も高い。A代表のセンターバックは冨安(健洋)、板倉(滉)が鉄板だけど、そのうち、この2人の間に割って入ってきそうですね。

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――さて、パリ五輪で世界と戦う上で、どういうところが課題になりますか。

 本大会で勝つためには、点を取りにいかないといけない。そのためには攻撃のバリエーションを増やすこと、その精度を上げていくことですね。アジアとは異なり世界が相手なので、それほどチャンスが多くないことを考えれば、ワンチャンスをものにする選手が必要になってくる。

 あとチームの戦い方として、攻撃から守備への展開はいいんですよ。プレスバックが早いし、みんな、さぼらない。でも、守備から攻撃への展開は、カウンターの精度を高めるとか、まだまだやるべきことが多い。そこが本大会ではキーポイントのひとつになると思う。