歌舞伎町のホストクラブは、昨年まで、「売掛」(後払い)によって女性を騙し陥れ、結果的に多くの女性たちが性風俗産業で働かざるを得ない状況をつくってきた。しかし、昨年12月5日、歌舞伎町のホストクラブオーナーたちによる業界団体が売掛を自主規制で段階的に減らし、今年4月から売掛を全廃すると宣言した。

 その結果、今年に入ってからは、売掛に代わって「前入金」(先払い)システムが使われている。「売掛」と「前入金」の違いは、後で借金をさせるか、先に借金をさせるかだけだ。

「ホストに1000万円、取られました」

 昨年7月より、悪質ホストの被害に遭う親や女性の相談に乗っている一般社団法人「青母連」の代表・玄秀盛さんはこう指摘する。

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「悪質ホスト産業は女性を食い物にしています。ホストクラブのオーナーたちがつくった歌舞伎町の業界団体は、4月から『売掛0(ゼロ)』にすると宣言しました。

 しかしホストは、虎視眈々と新たな女性を狙っています。全国にあるホストクラブはいまだ高額売掛しているし、今年に入ってからは個人間貸借や前入金、クレ・サラの多重債務を負わせる新たな被害相談が増えています。大学や行政に対して女性が“餌食”にならないように注意喚起をお願いしています」

 また最近では、「前入金」と女性に認知させずに、まずは個人間貸借を装い、女性からお金を巻き上げてからホストクラブの飲食代で相殺させる例が出ている。青母連の相談件数は、設立からの9か月で450件を超えている。青母連にも、その被害にあった相談者がいる。

「ホストに1000万円、取られました」

 茨城県在住の女性Kさん(26)は、か細い声で怒りをこめて言った。

一般社団法人青母連代表の玄秀盛さん(4月 青母連事務所)

ホストからの被害に遭った女性

 「2年前、転職を機に実家を離れて一人暮らしを始めました。医療系の仕事に就きました。昨年10月ごろから、マッチングアプリで友達を探していたんです。11月下旬に男性Aから連絡が来て、最初はアプリ内でやりとりして、LINEを教えました。そのとき、『ホストだ』と一言も言われていません」(Kさん)

 Kさん自身、多少の警戒感もあったが、好奇心が勝って男性と会ってみることにしたという。12月初めには、AがKさんの住む茨城まで迎えにきてドライブへ行く仲になった。ドライブデートの後、一緒に夕食をとったお店で「Kちゃん 一生幸せにします」とデコレーションされたケーキが出され、告白されて付き合うことになった。

その時のケーキの写真

「後日、Aから、『500円ぐらいで個人情報見られるやつあるからやってよ』と言われました。CICのホームページでした。ゲーム感覚みたいな誘われ方だったし、CICのこともよく知りませんでした」(Kさん)