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 このようなことが知られるようになってきたため、2024年1月に発生した能登半島地震では、テレビで「津波! 逃げて!」とかなり激しく(大きな字幕で)避難を促す放送がおこなわれました。これに対し、一部で批判の声も上がりましたが、過去の事例から学んで、少しでも多くの人が避難するのに役立ったと思われます。

なぜロシアとの戦争は起こらないと考えるのか?

 侵攻前の状況で言うと、実際にロシアはウクライナとの国境辺りに、大量に軍隊を送っていました。それでも「単なる脅し」と捉えられていたのです。

「ロシアがその軍隊を進めて全面戦争になったら、おそらくロシアにも重大な被害が出るだろうし、ほかの国もどんどん巻き込まれる可能性もある。第三次世界大戦に発展し、核攻撃という話にもなりかねないので、そこはやらないでしょう」と。

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 これこそ、まさに正常性バイアスです。なぜ、このバイアスが働くのかというと「自分が住んでいるこの世界は安定しており、その安定が続くのだ」と考えたほうが、精神的に安定して過ごせるからです。誰でも、第三次世界大戦になって核攻撃が始まり、地球滅亡……ということは考えたくないのです。

 災害場面でも同じで「自分の住んでいる家が津波で流されてしまう」など、天変地異によって自分の生活基盤がなくなるということは起きないと考えたほうが、心理的に安定していられます。

 つまり、論理的に考えられるかどうかという話ではなく、そう捉えたほうが精神的に安定できるからそのように考えるという話なのです。

 裏を返せば、このバイアスに掛かるときは、すでに事態が深刻化しているときです。ビジネスで言えば、倒産直前に発揮された例があります。