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1997年に山一證券が自主廃業を決めた際も、山一證券の従業員には直前まで「自分の会社が潰れる」とは思っていなかった人が多数いたという逸話が残っています。
当時、山一證券で働いていた方の手記を読んだことがあるのですが、テレビを点けたら自社の社長が泣いて謝りながら「社員は悪くありません!!」と絶叫していて、そこで初めて「うちの会社って潰れるんだ」とわかったと言います。
もちろん、大企業だった山一證券では、会社の情報を社員がマスコミを通じて初めて知るということもあったでしょう。
末期状態になるまで気づかない「最強のバイアス」
しかし、それを除いても、じつはそれまでに倒産の予兆はありました。前社長が逮捕されていたり、役員が銀行に支援を求めたり、どんどん人が辞めたりなど、倒産に至る兆候はあったのです。
しかし、それに気づかなかった人たちも多かったそうです。まさに正常性バイアスと考えられるでしょう。
正常性バイアスは「最強のバイアス」とも言えます。ウクライナ侵攻も、津波の被害も、山一證券の倒産もそうですが、気づいたときにはもう遅かったという事例がたくさんあります。
このバイアスへの対策はなかなか難しいのですが、次項とまとめてご提案しますので、対策については次項をご参照ください。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。