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「ネズミにかじられ、眼球はむき出し」「死後時間が経過して顔が真っ黒」…現役納棺師(26)が明かす“遺体修復”現場のリアル

「ネズミにかじられ、眼球はむき出し」「死後時間が経過して顔が真っ黒」…現役納棺師(26)が明かす“遺体修復”現場のリアル

宮本千秋インタビュー #1

2024/05/21
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「自分の技術でご遺族を満足させることができなかった」と反省する場面なんですが…

宮本 やはり一番はご遺族から感謝していただけることですね。自分が技術を高めてきたことが役に立ったと思うと報われた気持ちになります。直接お手紙をいただいたり、SNSで「依頼して良かった」とおっしゃっているのを見かけたりするのも嬉しいです。

 

 あと、やりがいというと、先日若くして孤独死された女性の遺体修復を行ったときのことも印象に残っていて。故人には仲の良い妹さんがいらっしゃって、日頃から頻繁に連絡を取っていたみたいなんですが、たまたまお仕事で日本を長期で離れなければならず、その最中にご病気で亡くなられていたんです。

 ご遺体は死亡から時間が経ってお顔も真っ黒。最初に依頼した葬儀社さんから「顔を見せることはできない」と言われていたようなんですが、どうしても「最期に会いたい」「顔を見たい」と、葬儀社さんを変更したことで私に繋がって。

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 全顔を覆うマスクを作って、妹さんに修復したお顔を見ていただくと、とても喜んでくれました。それだけでなく、「ここをもっとこうしてほしい」と追加の要望をいただいたんですよ。私はそれが嬉しくて、すごく印象に残っているんです。

 

 本当だったら、「自分の技術でご遺族を満足させることができなかった」と反省する場面なんですが、依頼前は絶望していた妹さんがお姉さんの顔を見ることができ、さらに、再現するうえでのご希望を打ち明けていただけた。辛い状況なはずなのに、最期を送り出すことに前向きになってくれた。ポジティブなお別れに貢献できたことに、心から喜びを感じました。

◆◆◆

 人の死と向き合い、故人の尊厳、そして遺された人の想いに寄り添う――。生半可な覚悟では務められない、納棺師という生き方を彼女が志した理由とは。

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