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――なんだかロマンチックです。

穂志 この湖のシーンを撮ったのが、私が撮影に参加する最後の日だったんです。この日は、あんまり言いたくないくらい大事な思い出があって。

 撮影が終わって、私が日本のように「オールアップです」みたいな挨拶をしたんですけれど、その後でコズモが駆け寄ってくれて。日本でいう割本のような一日の撮影スケジュールが書かれた紙があるんですけれど、それを破った裏に私への手紙を書いて渡してくれたんです。

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 私とコズモのあいだで交わした言葉は決して多くはなかったですけれど、私たちの間でもお互いに対して何か感じているものがあったんだなって手紙を読んでも感じましたし、とても大切な宝物になっています。

©杉山拓也/文藝春秋

真田広之から学んだプロフェッショナリズム

――バンクーバーでは他のキャストとどのようなかかわりがありましたか。

穂志 ちょうどコロナが流行っていた時期なので、人によっては外出を避けている方もいらっしゃいましたけれど、日本人のキャストとは結構仲良くさせていただいていましたね。

 真田広之さんにも、公私ともにかなりよくしていただきました。現場での真田さんは私たちに何の壁も作らず接してくださり、伸び伸びと演じられる環境を作ってくださりました。一方で、ご自身に対しては果てしない厳しさを持っていらっしゃることを常に感じていました。

 また真田さんは主演の吉井虎永役としてしっかり出ていたかと思えば、自分の出番が終わるとサッと着替えて気が付いたらプロデューサーとして真っ黒の服でスタッフさんに紛れているときもあって。全てのシーンをチェックされていましたし、真田さんを見て、世界に通用するプロフェッショナルな姿勢というものを学びました。

――穂志さんも真田さんのようにハリウッドで活動したいという気持ちはありますか?

穂志 またハリウッドでできれば、という気持ちはもちろんありますけれど、私にとってはあまりどこの国かというのは関係なくて。日本であれ、アジアであれ、ヨーロッパであれ、アメリカであれ、私のことを必要としている、面白いことをやっている場所に縁があれば、世界中どこにでも飛んでいくっていう気持ちです。

ヘアメイク 友森理恵
スタイリング 髙山エリ