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 街で背中を丸めて歩く人を見たことがありましたが、それはきっと精神状態が自然とその姿勢を求めるんだと、身を持って知りました。

「詰んだな木本」ネットでは誹謗中傷の嵐

 ネットも誹謗(ひぼう)中傷の嵐で「詰んだな木本」という書き込みだらけ。自分でも「詰んだな」と思わなくもありません。でも、「木本は詰まなかった」というレベルまで戻さないと、この先の人生はないと考えていました。諦めてしまったら、もうゼロです。

 だからこそ「諦めたらあかん」と。

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 精神的にも肉体的にも疲れ果てているはずなのですが、夜になっても眠れません。そんな僕の脳内に「諦める諦めへんの一枚の壁」がイメージとして映像で浮かんでいました。ものすごく薄い壁です。ちょっとでも穴が空いたら、そこから崩壊すると確信できるような。軽く触れただけでも破けてしまう障子紙より薄い壁。

 その向こう側はもう「地獄」が待っています。絶対に近寄ってはいけない。そう強くつよく念じて近づかないようにする。

 それが、一番辛(つら)かったときの精神状態でした。

投資トラブル後に謝罪会見を行った木本さん ©文藝春秋