2022年7月、「FX(外国為替証拠金取引)」と「不動産」における約7億円の投資トラブルを招いたTKOの木本武宏さん(53)。木本さんは投資トラブルを通して、どんなことに気づいたのだろう?

 ここでは、自身の体験を赤裸々に綴った著書『おいしい話なんてこの世にはない どん底を見たベテラン芸人がいまさら気づいた56のこと』(KADOKAWA)より一部を抜粋。「7億円の投資トラブル」直後、木本さんはどんな精神状態だったのか――。(全2回の2回目/1回目から続く)

TKOの木本武宏さん(53) ©文藝春秋

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精神的にも肉体的にどん底だった日々

 投資トラブルがすぐに解決できないとわかり、そこからさまざまな報道がなされました。僕は松竹芸能を退所して、自宅にこもっていました。“どん底”といってもまだ言葉がヌルいと思われるような、深いところに沈んでいました。

 極論ですが、「僕が死んで解決するならば、そうします」というテンションでした。ただ、本当に「死のう」という気持ちは僕の中にはありませんでした。

 ほとんどものが食べられなかったことは、別のエピソードで書きましたが、ご飯の時間になるのが怖かったです。食べないと身体を壊すのはわかっているので、なんとか口に入れましたが、すぐに戻してしまいます。

 自宅に引きこもっていますから、マンションの廊下で愛犬の散歩をするていどの運動しかしませんし、表情も動かないので、鏡に映るじぶんの顔がみるみると目尻(めじり)から頰まで垂れてくる。

 そうするうちに、まっすぐ立って歩こうとしても身体中に痛みが走る。背中を丸めると痛みが和らぐ。そんな状態です。