(「『オッサンばかり』のメガネスーパーをV字回復させた経営戦略とは」から続く)

 アイケアカンパニー宣言をし、技術力を武器とすることで再起を図ったメガネスーパー。星﨑社長は、社員の意識改革にも積極的に取り組んだ。そして今、“星﨑流の改革”はメガネ業界全体へと広がりを見せようとしている。

株式会社メガネスーパー・星﨑尚彦社長

赤字企業の共通点とは

――話を5年前に戻しますが、メガネについてはまったくの門外漢だった星﨑社長にとって、メガネスーパーの再建を担うことに戸惑いはなかったんですか。

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星﨑 正直、ヘビーな話だなとは思いました。当時売上は約160億円、赤字は26億円、店舗数は310店舗と、なにしろ規模が大きかったですから。ですがこれまでの経験上、業績が悪い会社には共通点があることがわかったんです。皆が責任を押し付けあう、アクションしない理由を探す、会議ばかりしている……など。でも、やることをやっていて赤字なら私の出番はないんですが、やるべきことができていないのであれば、それをやることで再生は可能だと思いました。

――まだまだ打つ手はあると。

星﨑 できないことだらけの会社は、そこを変えていくことで人も変わっていくんです。「人は無限に変われる」というのが私の持論で。変わっていく人を見ることも私の励みになるんです。

(写真提供:メガネスーパー)

頑固だと思っていた人ほど変わってくれた

――とはいえ、社員のなかには業界何十年というベテランも多くいます。意識改革をするのは大変だったのでは。

星﨑 たしかに業界歴が長ければ長いほど頭の固い人たちはいるんですが、じつはそういう人ほど変わり出すと早いんです。そもそも職人肌で、お客様にメガネを作って喜んでもらうことを何よりも喜びとしている。その点では私の考えとあまり方向性に違いはなく、頑固だと思っていた人ほど早く変わってくれました。

――それは意外です。

星﨑 とはいえ、最初は大変だったんですよ。見せかけの正論が跋扈していて、“できない理由”をバンバンぶつけてくるんです。「これでは店舗が回りません!」「どうして回らないのか言ってみろ!」、「それでは現場が動きません!」「現場って誰だ、連れてこい!」と、もう千本ノックのようなやり取りでしたよ(笑)。でもこれを繰り返していくうちに、少しずつ変わっていってくれました。