文春オンライン

連載文春図書館 ベストセラー解剖

日本人の多くは「死ぬときに一番お金を持っている」71歳で他界した経済コラムニストが説く“価値のあるお金の使い方”

『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』(大江英樹 著)――ベストセラー解剖

2024/05/29
note
『90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』(大江英樹 著)光文社新書

 お金をテーマにした本で多いのは、節約生活を提唱するか、投資等でお金を増やす方法を指南するかだが、本書はいずれとも異なる。お金は大事だけれど、モノやサービスを手に入れるための道具に過ぎないのだから、お金の本質について理解し、幸せに生きるために価値のある使い方をしようと説く。今年1月に71歳で他界した経済コラムニストが、自ら編集部に提案して実現した企画だ。

「企画時の仮タイトルは『アリの末路』でした。アリとキリギリスのアリのように、日本人の多くは老後への不安からお金を貯めることばかり考え、その結果、死ぬときに人生で一番多くのお金を持っていると聞いて、驚きました。また著者は、良いものを安くというコスパ至上主義が日本経済低迷の一因で、世の中を窮屈にしているとも。もっと違う発想でお金と向き合い、人生を豊かにする使い方を提示したいという著者の思いに共感しました」(担当編集者の草薙麻友子さん)

 発売直後に著者自らオンラインセミナーを開くなど精力的に宣伝し、SNSでも評判が広がった。

ADVERTISEMENT

「今後の生き方を考えるうえで参考になったとか、80代の親に読ませたいといった感想が寄せられており、著者が人生を通じ伝えたかったことが届いていると実感しています。普遍的な内容なので、長く読んでいただきたいです」(草薙さん)

2023年3月発売。初版1万部。現在11刷4万4000部(電子含む)
日本人の多くは「死ぬときに一番お金を持っている」71歳で他界した経済コラムニストが説く“価値のあるお金の使い方”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー