著者はゴールドマン・サックス証券株式会社出身。現在は社会的金融教育家として執筆や講演の活動を行っている。本書は著者にとって初となる小説形式の本。〈お金自体には価値がない〉〈お金で解決できる問題はない〉〈みんなでお金を貯めても意味がない〉という、生活実感からはピンと来ないものの現代社会を生きる上では重要な金融の発想を読者に伝えている。
お金に執着する中学生の優斗は、投資銀行勤務の七海とともに、ある大富豪にお金の本質と社会の仕組みについて講義を受ける。その講義の様子を読み進めるうち、論理と感情の両方でお金の不思議を理解できる。
「著者のデビュー作である経済の入門書『お金のむこうに人がいる』を読んで非常に感銘を受け、企画をご相談したところ、小説形式を提案されました。驚きましたが、ともすれば綺麗ごとにも思えてしまいそうな結論に説得力を持たせるためには最適なご判断だったと、今ならわかります」(担当編集者の桑原哲也さん)
ビジネス書の主なターゲットである、30代以上のビジネスパーソンが読者の中心。男女比は半々だという。理解しやすい文体で、さらに漢字に細かくふりがなを振ることで、中学生でも読める本に仕上げている。
「実際に10代の読者からの反響も届いています。親子で読んでいる方も多いようです」(桑原さん)