初の著書『クリエイティブジャンプ』が話題の、Z世代経営者でホテルプロデューサーの龍崎翔子さんと、『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』がロングセラーとなるメン獄さんの初対談が実現。超絶ハードワーカーの2人が語り合う「命を燃やす」働き方のすべて。
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「不甲斐ねー」という気持ちで泣きそうになった
龍崎 今日初めてお目にかかるのがすごく楽しみで、ここに来るまでのあいだ新幹線の中で、『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』を読み返していました。読むのは3度目なんですが、読み返すたびに受けとる印象がすごく違うんですね。
ちょうど、伴走していたナショクラの新規事業がローンチしてひと区切りついたタイミングだったこともあり、自分の仕事を振り返って「不甲斐ねー」という気持ちで本に共感して、本当に泣きそうになりました。メン獄さんが仕事の壁にぶつかったときの言葉がものすごく解像度高く心に刺さってきて。
メン獄 ありがとうございます。外資系の大手コンサル会社にいた12年間、まわりは優秀な人ばかりで、もうずっと不甲斐なかったんですよ。どうしたら、僕はこの状態から解放されるんだろうってずっと模索していました。龍崎さんでもそう思うことがあるんですね?
龍崎 ホテルをやっていると、自分のダメさ加減を定点観測できて、最近とくに過去の自分はクソガキだったなと思うんです。例えばマネージャーとのミーティングひとつとっても、5年前なら、アジェンダや資料に不備があったら「なんで?」って激詰めしてたと思う。
メン獄 わかります(笑)。
龍崎 でも今なら、「一緒に作業しようか。できたら教えてね」と、働く人が安心してステップアップできるようサポートすることができるようになりました。
メン獄 東大在学中に起業されてますけど、スーパーバイザーとかいたんですか?
龍崎 私よく黒幕がいるだろうって言われてきたんですが(笑)、投資家や経営のプロがバックについたことって一度もないんですよ。一緒に起業した母はホテル経験もなく、大学の教員だったのでビジネス経験すらありませんし、その後加わってくれた仲間も私同様、ホテルや経営に関しては素人で、みんなで知恵を絞ってなんとかやってきた感じです。
「必要なリスクは取れ、でも無謀はやめろ」
メン獄 コンサル会社にいる若い子たちは龍崎さんに憧れている人が多いんですよ。でも実際、自分で起業に踏み切れる人はすごく少ない。そこで、潤沢に予算のあるクライアントの新規事業案件に取り組むんだけど、「僕がやりたいのはこんなのじゃなくて」とか言う。別に退路を断てば自分で起業できるはずなのに、なかなかリスクが取れないんですよね。
新著『クリエイティブジャンプ』は、東大卒Z世代女性起業家というラベルの裏側にある泥臭いフィールドワークが詰まっててすごく面白かったし、手元のカードで勝負するしかない逆境から逃げない覚悟に敬服しました。とにかく現地に飛び込んで行動しないとダメだぜ、というのがよくわかる一冊(笑)。「必要なリスクは取れ、でも無謀はやめろ」は至言でしたね。