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「そんなの知らんがな」と割り切るからこそ、やり過ごせる

メン獄 1個ミスすると全部が崩壊するようなギリギリの状態って、不思議な脳汁出るじゃないですか。あれ、すごく好きなんですけど、長時間やってると身体がバラバラになるから、モードの切り替えがすごく大事。スイッチを切るメリハリが。

 あとは「そんなの知らんがな」――それで僕は精神のバランスを保ってきましたね。炎上案件とかめちゃくちゃ怒ってる上司とか、いろいろなのが降りかかってくるけど、サラリーマンの人生の8割はそういうものとの戦いなんですよ。

 組織には変な落とし穴が一杯あるから、自分がやったわけでも、聞いてもいないことで、突然叱られてしまう。内心「知らんがな」と割り切るからこそ、「いやー、すみませんね」ってやり過ごせる。経営者はそうもいかないだろうから、辛さのレベルが違うと思いますが。

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メン獄氏

龍崎 やはり、たくさんのローンも抱えていますし、多くの方が働いてくださっているので、重荷に感じている部分はとても大きくて、どうやって会社を守っていけばいいのか、自分にその役割が果たせるのか、ずっと悩んでいました。ただ、パンデミックの最中、ある会社を経営されていた方に「もしこのままコロナがおさまらなかったらどうします?」と聞いたら、「そうなったら、サーフィンして過ごすわ」と言われたんですね。そんな考え方があるのか!と目から鱗が落ちるような気がしました。

 自分が築いてきたものを守る気持ちも大事だけど、「ダメになったら楽しく過ごせばいいじゃん」みたいな人格を心の中で宿しておくことがお守りになるな、と。そういうゆとりこそが、ヘルシーに働き続けるうえでも、クリエイティブジャンプを生むにも絶対に必要なこと。まさに、「そんなの知らんがな」という圧倒的無責任を根底にもつからこそ、命を燃やして働けるというパラドックスがあると思う。

どこでなら、自分の命が輝くか?

メン獄 結局のところ、働く場所も、働き方も、どの道をいくべきという正解はない。でもどこでなら、自分の命が輝くか? に尽きると思う。僕はサラリーマンとしてコンサルをやるのも楽しかったけど、人の事業のサポートで大きなお金をもらい続けるのは、魂をどこかで蝕まれる気がして、スタートアップ企業に加わった。

 どんな場所でも、どんな方法でもいい。自分の魂が仕事で輝いたほうが人生面白いし、社会もハッピーになると思ってます。

龍崎 本当にそう思います。自己責任とか、責任感みたいなものは、背負い込みすぎると脳のパフォーマンスを落とすので、「知らんがな」精神もどこかに宿しながらこれからも仕事を楽しみたいと思います。今日はすごく刺激的なお話をありがとうございました!

メン獄 こちらこそ、ありがとうございました!

『クリエイティブジャンプ 世界を3ミリ面白くする仕事術』 (龍崎翔子 著)
『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』 (メン獄 著)

龍崎翔子(りゅうざき・しょうこ)
​1996年生まれ。ホテルプロデューサー、株式会社水星代表取締役CEO。東京大学経済学部卒。2015年、在学中に株式会社L&Gグローバルビジネス(現・水星)を設立し、北海道・富良野でペンション運営を開始。その後、関西を中心に、ブティックホテル「HOTEL SHE,」シリーズを展開し、湯河原、層雲峡をはじめ全国各地で宿泊施設の開発・経営を行う。クリエイティブディレクションから運営まで手がける金沢のスモールラグジュアリーホテル『香林居』がGOOD DESIGN賞を受賞。ホテル予約プラットフォーム『CHILLNN』や産後ケアリゾート『HOTEL CAFUNE』など、従来の観光業の枠組みを超え、〈ホテル×クリエイティブ×テック〉の領域を横断し、独自の事業を展開する。
 

メン獄 (めんごく)
1986年、千葉県生まれ。コンサルタント。上智大学法学部法律学科卒業後、2009年に外資系大手コンサルティング会社に入社。システム開発の管理支援からグローバル企業の新規事業案件まで幅広く手掛ける。2021年に退職後、医療業界全体のDX推進を目指すスタートアップ企業にDXコンサルタントとして就職。主に大企業のテクノロジーを用いた業務改革の実行支援・定着化、プロジェクト管理、運用設計が専門領域。コンサルティング業界の内情やDXトレンドを紹介し、仕事をよりポップな体験として提案するTwitter、noteが人気を博す。