例えば、ベンツで首都高速を走っていた時に、トラックにあおられたことがあるそうです。普通の人なら相手にしないが、そこは、ヤクザのよしあき叔父さん。首都高のど真ん中だというのに、ベンツを斜めに停めて、トラックを停車させる。その後、なぜかトランクに常備していた木刀を取り出し、トラックのドアを軽くノック。相手も根性の入った運ちゃんだから、勢いで窓を開けた途端、顔面に木刀を連打させたという。その光景を見たN君は、「今日もまた長い1日になりそうだ」と、思ったそう(笑)。
そんな凄惨な光景を見て、冷静にそう思えるところが、さすがヤクザの息子です。
「ばあさんが止めに入るのが遅かったら死んでたよ」
よしあき叔父ちゃんの話はこれだけじゃない。
母親の姉の息子Mくんが、叔父ちゃんに頼まれて、新宿にあった暴力団事務所へ行ったことがあるそうです。テーブルには、新聞紙に包まれたピストルがごろんと置かれ、「こりゃ、仁義なき戦いみたいだな」と思ったらしい。
ちなみに、そのときに相談されたのは、ある人物の尾行(笑)。そんなこと、親戚の甥っ子に頼む人なんていないですよ。
また、理由は明かしてくれなかったのですが、叔父ちゃんに叱られたこともあるらしく……もうね、平手打ちやゲンコツじゃない。片手でやっと持ち上げられるような重量のある鉄アレイを天高く掲げて、頭に振り下ろすんですから。幸い、ばあちゃんが泣きながら制止したから大事には至らずに済んだらしいけど、M君は後年、「あれはもう、ばあさんが止めに入るのが遅かったら死んでたよ」って笑っていましたね。
こんなエピソードを紹介すると、「ヤクザだねぇ~怖いねぇ~」と思うかもしれませんが、本当に優しい人だったんです。あんまり説得力がないですけどね(笑)。