そうなると、短大に通い続けることもできません。結局、短大には1年ほど在学したものの、中退するしかなくなりました。その頃には、せっかく85キロまで減っていた体重がまた増え始めていました。
今、振り返ると、ボクはこの入院で、メンタル面で致命的なダメージを受けたような気がします。
「どうしてボクだけが!」
皮膚移植の手術自体もつらいものですが、新たな人生を始めようとしていた矢先だっただけに、「どうしてボクだけが!」「なんでこんなに運が悪いんだ」という気持ちになりました。そして「もう、どうでもいいや」という投げやりな気持ちがわいてくるのを抑えることができませんでした。
ボクにはもともと、人の目を気にする性格がありました。前向きに生きられる、強い気持ちをもった人なら、たとえ、ボクと同じ病気になっても、まわりの人に対して正直に「こんなになっちゃってさぁ。でもがんばるよ!」と言えるでしょう。でもボクにはそれが難しかったのです。
傷口から汁が垂れることもつらかったし、膿のにおいとかを人に気づかれるのもイヤでした。そして、傷の痛み以上に、人と会うことに苦痛を感じるようになり、「外に出たくない。誰にも会いたくない」と思うようになってしまったのです。
仲のよかった高校時代の友人たちとの関係も、自分のほうから一方的に断ってしまいました。皮膚移植の手術を受けることは一切告げなかったし、友人が心配して家を訪ねてきても、母に「いないと言って」と言って、顔も見せずに帰ってもらいました。
精神的にも、完全な引きこもり状態になってしまったのです。
始まった過食
この入院がきっかけで、ボクの過食が始まりました。強いストレスを感じて、ジャブのように大食いを繰り返すようになったのです。過食は皮膚移植のための入院中から始まりました。
自分的には過食しているという自覚はありませんでした。入院していると、ほかにするともないから、ついつい食べ物に手が伸びる。ひとりで病室にこもってお菓子をむさぼり食うのですが、いくら食べてもまだ食べられる……。もう、食欲をコントロールすることができなくなってしまいました。
あとになって、過食症のきっかけは、強烈な不安感や自己嫌悪、卑下、うつなどが原因とされていることを知りましたが、ボクの場合も、まさに強烈な不安感や自己嫌悪、卑下などをきっかけに過食に走ったのだと思います。
過食は、退院してからも続きました、その結果、120キロになっていた体重は2か月で一挙に20キロ増え、140キロを超えてしまいました。人生最大の体重でした。さすがに“ヤバい”と思いました。でも、命にかかわるほどの強い危機感をいだいたわけではありません。今にして思えば、認識不足でした。
また、自宅に戻ってからも引きこもりを続けていましたから、人の目も気にせず、それまでと同じように過食生活を続けていました。
ところが、ある日突然、ボクの体に異変が生じたのです。
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