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日本テレビの「調査報告書」P20より

「ふんわりした合意」では揉めるだけ

契約書でなくても、メディア業界は打合せの場に文書を持ち寄ることが少ない。打合せの後に議事録を作成する習慣もない。だから「ふんわりした合意」になりがちなのだ。

日テレ報告書の提案にある「相談書」でもいいと思う。原作側は「こう作ってほしい。これを絶対守ってください」とはっきり伝える。制作側は「われわれはこう作りたい。だからこうさせてほしい」と文書で明示する。

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面倒でもはっきり伝えるほうが後で揉めるよりずっといい。その上で互いに合意した条件を契約書に盛り込めばいい。

日本テレビ報告書の「提言」にはもう一つ、私がかねがね絶対大事だと思っていたことが出てくる。それは「放送開始の1年半前の企画決定」だ。

放送開始まで余裕がないドラマ制作現場

企画に時間をかけないことこそが、日本のドラマ制作の大問題だ。タレントありきですべてが決まってきたからだと思う。企画は後回しで出演者が先に決まる。そんなことを何十年もやってきたので、半年前の企画決定が常態化してきた。

日テレ報告書によると、今回の「セクシー田中さん」も、放送枠が正式決定したのは約4カ月半前だったとある。

10月期日曜ドラマとして初回放送日や話数等の正式決定 日本テレビ内部で、本件ドラマが「10月期日曜ドラマ枠」ということで初回放送日と放送話数が正式決定し、2023年6月8日、A氏はC氏に「日テレ内で『10月ドラマ枠』で正式決定いたしました。」とメールした。A氏の認識では、ドラマ化自体と放送枠は決まっていたが、初回放送日がこのタイミングで決まった。

日本テレビの「調査報告書」P17より

ハリウッドでは、ドラマの企画は脚本家が立ち上げ、スタジオにプレゼンしてうまくいけば第1話の脚本が発注される。それも評価されればパイロット版が制作される。映画も完成された脚本が、億単位の金額で映画化権を買われたりする。その脚本をさらに改良するために別の脚本家が雇われることもある。